モバP「他の誰にも」
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14:名無しNIPPER[saga]
2019/01/07(月) 00:23:16.38 ID:Xs3d4B2lO


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 制服にヘッドホンは嫌でも目立つ。その名を知らなきゃ選ばないようなメーカーのやつなら尚更。

 だから最初は、音楽やんのかなって思って声掛けた。

 で少し話して、コイツは何も知らないと直感した。

 何演るんだろっていう好奇心や、ウチ以上のバンドだったらっていう警戒は、全て無意味だと悟った。

 こっちはライブハウスの常連で、学校に秘密で街のカフェバーで演った実績もある。駅前でもちょくちょく演って、動画も上げてるし、それ目当てで寄ってくる女子も少なからずいる。

 にわかだってこきおろしてやってもよかったんだけど、まあ可愛かったし、ご機嫌取りにCD貸そうかなんて言ってみたりした。

 そのバンド名言っても通じてないぽかったあたり、これは重症だとも思ったが。
 

 だから俺にとって多田は、顔が良いから気が向いたらウチに引き入れたら客席埋まるかなって言う程度の存在でしかなかった。覚えたばっかの単語をひけらかしてんのは正直いけすかなかったけど、ぶっちゃけおだてとけばヤレるかなって。

 実は多田がアイドル目指してて、オーディションの選考に残ったって噂が聞こえた時も、金さえ積めば誰でもいける事務所(トコロ)に入っただけだって思った。実際そういう名刺ならもらったことあったし。

 
 どうしてアイツばっかり、そう思うようになったのは、いつのころか。
 


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