「夏の雲をつくる技師になりたかった」
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4:名無しNIPPER[sage]
2018/11/21(水) 01:45:59.10 ID:jRzSMQBn0

雲の欠片をついでに竈の中に放って、僕は水場に足を運んだ。

水場は広いプールのような桶に水をたっぷりと湛えて、蒸発しないように魔法で固定した場所だ。
もちろん雲をつくる度に水は減るので、時々雨水を回収する業者がそれを足しに来る。

最近は水の質が落ちた、なんて親方は5年位前からぼやいていたな。

「おう」

僕が戻ったのを見て、親方はぶっきらぼうな声でそう言った。

と、目の前が白で埋まる。
ちょうどつくっている時だったか。


「今日のはでかいっすね」

「今から夏本番じゃからの。 深度6なんぞ久々につくるわい」

「6ですか、また随分」

「このテの大きいんはこの歳になると堪えるのう」


水場をプールと言ったが、それくらい天井も高くて、親方が自分の身長の何倍もの雲をつくろうが上限にはまだまだ余裕があった。
親方の指や掌全てに「陣」が描かれた両手が雲に触れるたび、それはもくもくと自由に形を成した。

「すげぇ……」

堪らない。
こんなに素早く、自在に雲をつくりだす職人を他に知らない。


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