「夏の雲をつくる技師になりたかった」
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9:名無しNIPPER[sage]
2018/11/21(水) 20:26:44.87 ID:kxV7fg2jO

「ごめんくださーい」

チリリン、と表の鈴が鳴った。
親方はたいてい作業から手が離せないため、来客の応対は僕の役目だ。

少し外す旨を親方に伝えて、僕は表の玄関へと急いだ。

「やあやあクラウド。お久しぶりです」

「ああ、やっぱりお前か」

「何ですかそのがっかりした顔は。君がここに来てからずっとの旧い仲だというのに、私は悲しくてしくしくと泣いてしまいそう」

「何言ってんだ。お前は涙を流す目なんてないだろ」


僕が笑うと、そいつはおどけた仕草でシルクハットのつばをつまんだ。

彼の名前はカブ。
黒い液体をなんとか人の姿に押し込めたような姿をしていて、いつもくたびれたタキシードとシルクハットを身に纏っている。

本来人の頭らしき部分は彼の感情に合わせて時々ぐちゃっと歪んだりする程度で、僕は彼が何なのかあまり理解していない。
「彼」という呼び方も正しいのかどうか。


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