とある妄想科学の猟奇殺人(ニュージェネレーション)
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名無しNIPPER
[saga]
2018/11/25(日) 20:41:01.70 ID:0u3i+OR/0
ただ重苦しい静寂が広がっていた。
あまりに濃くてあまりに重い。それだけで窒息してしまいそうなほどに。
周囲には理解のできない奇妙なもの。
でも、目の前にあるものは酷く分かりやすかった。
「……ごめん。終わったんだよ。……もう、終わっちまったんだよ」
どこで間違えた? 何を間違えた? どうすれば、こんな終わり方を回避できた?
考えることに意味はない。もう今更どうにもならないんだから。
彼女の唇が僅かに動く。
その言葉に何が込められているのか、もう俺には分からない。
もしも時間を遡ることができたら、もう一度チャンスをくれたら、こんなことにはならなかったんだろうか。
口の中に鉄の味が広がっていく。
自分が情けなくて、あまりに無力で、ひたすらに拳を握る。
言葉が零れた。
「 」
それは許されない。そんなことをする権利は、ない。
膨れ上がるそれに抗いながら、俺は僅かに手を伸ばす。
もう掴めるものなどないと分かっているのに。
「 」
彼女の唇が、三度動いた。それだけで奇跡とさえ言えるのかもしれない。
彼女のその返事を聞いて。彼女のその顔を見て。
俺は、膨れ上がり続けたそれに、ついに抗えなくなった。
なんで、そんなことを言うんだ。
なんで、そんな顔をするんだ。
その時、その瞬間――――――上条当麻は頬を伝い落ちる一粒の透明な滴と共に、全てを諦めた。
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