2:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:17:50.14 ID:3QcdtyFE0
これほどの物は記憶を探ったとしても出てこない。また、直接渡されなかったのもこれが初めてかもしれない。
担当アイドルになんで教えてもいない住所を把握されているのか、という少し恐れの入った疑問はいったんおいておくことにして、俺は家に入るべく行動に移ることにした。ひとまずドアを開けるために段ボールをずらそうとした……のだが、
「おっも!」
思わずそんな声が出てしまった。女性の多い仕事場で自然と力仕事をすることも増え、多少の物なら軽く扱える自信があったのだが、この段ボールの重さは予想をはるかに上回るものだった。腕の力だけではまず上がらない。少し考えてから、どうにか引きずるようにずらして箱をずらしてドアを開ける。
抱えていこうとしても腰を痛めてしまうかもしれない。引きずってみたり、横にしてみたり、また引きずってみたりと試行錯誤を繰り返すこと十数分、ようやく部屋に箱を運び終える。久しぶりに肩で呼吸をしていたし、頬から滴った汗のしずくが顎のあたりで合流して、ぽたりとフローリングのマットにシミを作っていた。
さて、なんだろう。
尋常ではない重さの箱を運びながら、俺は中身が楽しみになっている自分がいることに気が付いていた。感触的に本当に冷蔵庫が入っているなんてことはないはずだ。
中身のぎっちりとつまっているそれは、もしかしたらスタドリ漬けの生活を送っている俺のための大量のお茶のペットボトルかもしれないし、はたまた忙しい俺の為に週刊漫画雑誌の漫画を送ってくれたのかもしれない。なんだかんだ、まゆの贈り物というのはいつも俺を楽しませてくれたし、きっと今回もその例に漏れることはないだろう。
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