3:名無しNIPPER[saga]
2018/12/01(土) 14:19:00.99 ID:3QcdtyFE0
一度汗を拭こうとハンカチを取り出す。ずいぶん昔に買った覚えのあるハンカチの肌触りは大分ざらついたもので、そういえば新しく買おうと少し前に思っていたことを思い出す。そんなことが一瞬頭の片隅に過ったが、頭の中はすぐに箱の中身のことでいっぱいになる。
はやる気持ちを抑えつつ、縦長の段ボール箱をゆっくりと横にする。これを勢いよく倒そうものならトラブルは避けられなそうだ。そして、中央に真っすぐと貼りついているテープに手を掛けた。1メートル以上あるそれを掴んでから一気に引っ張ると、ベリベリと気持ちのいい音をしながら勢いよくはがれていく。これまでの苦労のせいだろうか案外楽しい。
テープをはがし切った後、俺は心の中で『せーの』とタイミングを計ってから思い切り箱を開いた。そして、
「―――――――ッ!?」
絶句、した。
どすん、という音が部屋に響いて、それがしりもちをついた音であることに気が付いたのはしばらく経ってからのことだった。
ぎっちりと入っていた梱包材の中で、何かと、目が合った気がした。
何が入っていたのかはわからない。でも、俺が箱を開けたとき目に入ったのは間違いなく「目」だ。それだけは間違いない。
何かの間違いではないのか。3つの点が集まった図形を人と勘違いするという、シミュラクラ現象というやつなのでは――――と混乱する頭を働かせながら、新たな可能性にハッとする。
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