9:名無しNIPPER[saga]
2018/12/02(日) 11:56:19.48 ID:bVAioiv60
「俺の分だけで良いのか?」
「……ああ、私はもう少し冷ましてから飲むわ」
「そうか?」
二乃の分のカップが出されていなかったので不審に思う。まあ、ブルジョワな暮らしを送っていた奴だから、こだわりでもあるのだろうと考えることにした。
「じゃあ行くぞ。この類いの問題はだな、前に教えた、距離を求める、こうしき、を……」
解説を始めたいのに、まるで呂律が回ってくれない。体に力が入ってくれない。ノートには意味をなさないぐにゃぐにゃの線が引かれて、上半身はとうとうテーブルに突っ伏す形になった。
「あんたさ、私の淹れた飲み物に警戒心なさ過ぎ」
「二乃、お前……」
「三回も同じ手に引っかかってどうするのよ」
「また、薬……」
目だけをどうにか動かして、彼女に抗議の意思を示す。
でもなんで、今更。
それなりに打ち解けて、ある程度の信頼を勝ち取ったつもりでいたのに。
「よいしょっと」
「…………」
二乃の腕に支えられるようにして、その場で横にさせられる。抵抗しようにも、体に変な痺れが走って、指先一本まともに動かせなかった。
「おやすみ、フータロー」
二乃が見せる、どこか妖艶にすら思える微笑。
それを脳裏に強く焼き付けて、俺の意識は途絶した。
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