32:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:47:12.90 ID:wXoZOq/r0
急げ急げと指差しで下駄箱をなぞって、可能な限り早くオーダーを達成しようとするも、やっぱり靴は見つからなかった。列を間違えているのではとも考えたが、どうやらその線は薄そうだし。
「うおっ!」
33:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:47:43.81 ID:wXoZOq/r0
肩を落としていると、横合いから網膜を焼かんばかりの光が襲ってきた。ぴかぴかと俺を照らす光源は良く見ればスマートフォンのようで、誰がこんな悪戯を……とそいつの腕を引っ掴む。
下手人は男だろうと想像していたのに、手首は思いのほか細かった。突然の明暗変化に視力が付いてこれていないので顔は分からないが、もしかして女子か、こいつ。
34:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:49:00.88 ID:wXoZOq/r0
「なにすん……おい?」
思考に意識を削がれて気を抜いていると、今度は逆に俺の体が引っ張られた。突然のことなので踏ん張りがきかず、そのまま引きずられるように昇降口の端の方まで連れて行かれる。そこでどうにか足を止めると、ようやく犯人様の顔が拝めた。
35:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:49:36.59 ID:wXoZOq/r0
「逃げないようにって靴を隠しておいたんだけど、普通に遅刻しただけなんだね」
「…………」
「静かにしてね、フータロー。ここ、先生も来るから」
「……三玖」
36:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:50:16.43 ID:wXoZOq/r0
「おい」
「……すん」
「三玖」
「……すんすん」
「なぜ嗅ぐ」
37:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:51:05.33 ID:wXoZOq/r0
「この前約束したでしょ?」
「……この前とは?」
「フータローが二乃とイチャイチャしてた時」
「別にイチャイチャは……」
「じゃあ、二乃と何度もえっちしてた時」
38:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:51:35.29 ID:wXoZOq/r0
「私がなんて言ったか覚えてるよね?」
「……私ともしてって」
「そう。伝えたからにはフータローから言い出してくれるんだろうなーと思ってたのに、いつまで経っても知らんぷりなんだもん」
「ジョークの可能性もあるだろ……ちょっとは」
「ジョークに初めてを賭ける女の子なんていない」
39:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:52:29.35 ID:wXoZOq/r0
いきなりの処女宣言に怯む。……ま、まあ、この歳ならなんら不思議なことではないし、俺だってちょっと前まで童貞だったわけだけど。
しかし、どんな論法を使えば『私とセックスしろ』に繋がるのか毛頭分からない。そこは姉妹に先を越されたくなかった……みたいな、俺には理解しようもない感情でも絡んでいるのだろうか。
40:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:52:56.50 ID:wXoZOq/r0
「二人っきりになれる時間も場所も全然見つからなくて、だからこそ、フータローは私のために今日一日をフリーにしてくれたのかと思ったのに」
「……だからメールを?」
「そう。こうなったらこっちから行こうって」
41:名無しNIPPER[saga]
2018/12/13(木) 20:53:22.81 ID:wXoZOq/r0
外から生徒の声がして、咄嗟に二人で近くの自販機の影に体を隠す。柱と筐体とが上手く密集していて、この暗がりならじっとしている限り見つかることはなさそうだ。……いや、そもそもなんで俺が隠れなきゃならんのだとは思うけど、三玖の三玖らしからぬ俊敏な動きに釣られてしまった。
尻もちをついた俺の上に覆いかぶさるような姿勢をとった三玖は、どうにも先ほどから呼吸の調子がおかしい。浅く早く、矢継ぎ早に酸素の入れ替えを行っている。
「なんだお前、体調でも悪いんじゃないのか?」
「ううん、違うよ」
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