16: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/01/22(火) 01:59:02.21 ID:Iu3uS99f0
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女子寮の屋上、物干し竿が月明かりに照らされる夜長。そこへ、一つのほら貝があった。
ほら貝の周りには人はおらず、誰が持ち込んだわけでもない。ほら貝はただ、そこにいたのだ
「遅れて悪かったな、ヨダさん」
低く、地を這うような声が、ほら貝にかけられる。ほら貝は一度地面を転がった後、宙に浮き、それから人の姿になった。
ほら貝は、依田芳乃の姿に……現在、アイドルとして活躍しているヨリタヨシノと似た姿になった。
「ウサちゃんロボは付喪神じゃなかったぜ。キカイとして動いているだけだった。何時間もかけて調べたから間違いじゃねぇ」
「うん、ありがとう」
ヨリタヨシノを名乗る、ヨダと呼ばれたもの――ほら貝の付喪神は、振り向きながら声の主に礼を言う。その声のトーンもしゃべり方も、朝に調査のため訪れたプロデューサーくんへ向けられたモノと全く違う。これが、ヨダの本当の口調なのだ
「うさぎも、今日はもう寝ていいよ」
ヨダの視界の、ピンク色が映る。そのピンク色は、アイドル双葉杏が愛でているウサギのぬいぐるみ――「うさぎ」だった
「そんな眠くねぇんですよ。それに、新しくこの女子寮に発生した付喪神も気になるんですわ」
うさぎはポテポテと歩き、ヨダの隣に座ろうとした。しかし彼は足を取られてその場で転んでしまった。仰向けの彼の目に、満月にいるうさぎが飛び込んだ。
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