136:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:48:30.57 ID:+EJgW/MP0
どうせこのままでは収拾がつかないのだ。なら、俺が一肌脱いだほうが早い。両損になるよりは、いくらかマシ。
「……あー」
声色を調整する。形から入り過ぎだなーとも思うが、素面でやるのはちょっと厳しいのだ。
137:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:49:06.74 ID:+EJgW/MP0
当然の反応だ。我ながら意味の分からないことをしてしまった。もうちょっとまともな導入の一つや二つ、探せばあったに違いないのに。
相変わらず、そのあたりで器用になれない。俺が俺たる所以が透けて見えるようだ。
「…………そちらは彼氏さんですか?」
「…………」
138:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:49:50.79 ID:+EJgW/MP0
「………………そちらは――」
投げやり気味に三度目を呟きかけて、そこでようやく四葉からの明確なリアクションがあった。どうやら、傷が浅いうちに救ってもらえるらしかった。
ただでさえ腕が引っ付いているのを、今度は体の側面が一体化するレベルで密着する。無論、俺から動くはずもないので、これは全て四葉が主導の出来事だ。
で、そこでどうやら、彼女が秘蔵していたとっておきがご開帳されるようで。
139:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:50:42.51 ID:+EJgW/MP0
「…………彼氏さんにしたい人、かもしれません」
伏し目がちに、俺にだけ聞こえるくらいの声量で、四葉は告げた。
140:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:51:15.89 ID:+EJgW/MP0
「をゑ」
「ちょっと!」
変な声が出てしまって、それを聞き咎めた四葉が俺の肩をがっくんがっくん前後左右、ひいては上下やら斜めやらの軌道を加えて揺らしまくる。もとから俺より力強い奴なので、抵抗することも出来ず乱気流に飲み込まれたみたいになっていた。
141:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:51:48.10 ID:+EJgW/MP0
「私の純情になんてことを!」
「あばば」
「なんてことをー!」
泡を吹いて気絶する寸前で、なんとか肉体が乱気流を抜けた。なおも視界のピントが定まらないのが恐ろしいが。
142:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:52:19.66 ID:+EJgW/MP0
「もっと甘い反応をしてください!」
「甘いってなに」
「恥じらって!」
「……俺が頬染めながらそっぽ向くのはなんか違くないか?」
「ちょっとくらい動揺してくれてもいいじゃないですか……」
143:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:52:48.37 ID:+EJgW/MP0
「物理的なお話ではなくて……」
「……いや、動揺してるだろ」
予想していなかった言葉に、多少なりともダメージは負っていた。既に耐性をつけていたから多少胸がざわつく程度で済んでいるが、聞かされている時期が違えば、俺のリアクションが違うものになったのは疑いのない事実だ。
144:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:53:27.36 ID:+EJgW/MP0
「……出来れば、その、前みたいに否定してくれると、会話はしやすいんだけど」
三玖のコロッケと戦ったあの日を思い出す。これがまた単なるからかいならリボンを引っ張って終わりだから、扱いやすくて良い。
四葉から時折感じていたつかみどころのなさが、ここでも発揮されることを祈っている。まるで女っ気のない俺をおちょくっているだけなのが一番望ましい。
145:名無しNIPPER[saga]
2019/02/05(火) 20:54:08.82 ID:+EJgW/MP0
「会話しやすいって?」
「ぎくしゃくするだろ、どうしても」
「私のこと、嫌いだったりしますか?」
「そういうわけじゃないけど、せっかくの人間関係がぎこちなくなるって言うか」
「嫌いではないんですね?」
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