49:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:42:39.04 ID:hVbz5UOb0
「ずっと家の中にいてばかりじゃ、体にカビが生えちゃいますし」
「ちなみにカビ菌は誰の体にでも常在してるぞ」
「えっ」
凍り付いた四葉を追い越す。秋色に染まった世界は全てがゆっくり動いているようで、自然と自分の中にも余裕が生まれてくるような気がした。思えば最近、小休止すら挟むことなく駆け抜け続けていたかもしれない。そんな溺れかけの頭で何を考えようと、画期的なアイデアは生まれないだろう。
50:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:43:11.18 ID:hVbz5UOb0
「水虫とかがそれだな。まあ、若いうちにはそこまで気にすることでもない」
「不吉なこと言わないでくださいよぅ」
白癬菌がどーたらとか、カビと言えばペニシリンだとか、そこから話を広げる手段はいくつか自分の中に用意されていたが、要らない蘊蓄を垂れ流す場面でもないだろうと思って控えた。インテリジェンスな事柄からは、少しの間だけ距離を置こう。それが、今の俺に必要なことな気がする。
正しく気を抜こう。自分の体の中にあるガスだまりを少しでも小さくすれば、もう少しだけ、頑張れる気がするから。
51:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:43:43.34 ID:hVbz5UOb0
「で、ここから何すんの?」
「色々考えてありますよ。行きたい場所、たくさんあるので」
「……まあ、ほどほどに付き合おう」
なんなら、このまましばらく歩き続けるだけでも良かった。だが四葉に案があるというのなら、それに乗っかるのもやぶさかではない。積極的休養というやつだ。
52:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:44:11.96 ID:hVbz5UOb0
「もう」
「なんだよ」
「歩幅、気を付けないとダメですよ」
「……?」
「女の子と歩く時はちゃんと足並みそろえないと」
53:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:44:50.72 ID:hVbz5UOb0
「それと、上杉さん?」
「ん?」
「女の子と二人っきりの時に『落ち着く』は禁句ですよ」
「どうした急に」
「さっき家で言ってたじゃないですか。居るのはお前だけだから落ち着くって」
54:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:45:24.00 ID:hVbz5UOb0
かねてから一番協力的だった四葉に背を向けられては、さしもの俺も心が折れてしまうかもしれない。それは好ましくないことだと、素直に思った。
「綱渡りみたいだ」
バランスを取りながら狭所を歩いている感じ。あまり俺の得意とするところではない。
55:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:46:08.92 ID:hVbz5UOb0
「もちろん、得点を稼げばその限りではありませんよ」
「なんだ、ご機嫌取りでもすればいいのか」
「もう、上杉さんはすぐそういうこと言う」
「そういうこと言わなきゃいいの?」
「それもちょっと違いますね」
56:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:46:47.07 ID:hVbz5UOb0
「ほら、こういうの、なんて言うんでしたっけ?」
「は?」
「休日、男女でお出かけするの、なんて言うんでしたっけ?」
「…………」
「去年も一回したじゃないですか」
57:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:47:13.67 ID:hVbz5UOb0
「これで1ポイントですね」
「ちなみにそのポイント、貯めるとどうなるんだ?」
「428ポイントまで貯めるとギョウザ無料券と引き換えできます」
「ラーメン屋かよ」
58:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:48:06.27 ID:hVbz5UOb0
「じゃ、ぼちぼち行きましょうか?」
「おう、どこでもいいぞ」
俺の反応に対し、四葉が「ちっちっち」とややオーバーに顔の前で人差し指を振る。何やらもの申したげな様子だ。
59:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/31(木) 22:48:53.83 ID:hVbz5UOb0
今日は終了。総員アニメ四話に備えてどうぞ。
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