9:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:20:06.69 ID:gUiBlRD20
「式ではどうせこのスタイルなんだし」
「俺はお前が怖いよ」
式と言うのはたぶん、冠婚葬祭の頭から二つ目のアレだ。確かにバージンロードを歩く新郎新婦は腕組みをしているイメージがあるが、そこまで見据えているというのは流石に恐ろしい。なぜこの段階から俺と添い遂げる覚悟を固めているんだこの女子高生は。
10:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:20:39.19 ID:gUiBlRD20
「もう否定するのも疲れたから聞くんだけどさ、お前の人生設計ってどうなってんの?」
「子供は二人以上欲しいわね」
「家族計画はまた今度聞くから今は控えろ。俺が聞きたいのは、何歳で何をして〜みたいなのだ」
とんでもない爆弾発言が飛び出たが、そこまで驚きもしなかった。既にそれを目的とした行為を重ねてしまったからというのが主要因だと思う。俺は二乃が怖いが、それ以上に自分も怖い。
11:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:21:19.12 ID:gUiBlRD20
「取りあえずはまあ、高校卒業よね」
「そっちの見通しはだいぶ立って来たな」
今は屋根の下にいるから感じないが、外に出れば既に秋の匂いが漂う時期だ。途中途中のテストなんかも順当に突破してきていて、よっぽどのことでもない限り彼女たちは当初の目標通りに高校修了の有資格者となる。
12:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:21:50.66 ID:gUiBlRD20
「で、そこも卒業したら就職よね」
「おう」
当たり前の流れだ。ここまでは俺でも予想できる。
13:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:22:30.73 ID:gUiBlRD20
「そして、ちょうど大学卒業のあんたと入籍ね」
「おい」
「しばらくは家事育児に追われるだろうから専業主婦で」
「おい」
「子供から手が離せるようになったら、そこでようやく夢の実現に向けて頑張ろうかしら」
14:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:23:02.33 ID:gUiBlRD20
「あんたとくっつくのは確定事項だもの」
「おかしいな認めた記憶がない」
「認めさせるわ、近いうちにね」
背中に鳥肌がぶわぁっと広がった。嫌な予感は、今日も休まず俺の後方数センチの至近距離に詰めてきている。
15:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:23:51.07 ID:gUiBlRD20
「あれだけ色々したんだもん、責任取ってもらわなくちゃ」
「ピンポイントで俺の弱点刺すんじゃねえよ……」
そこを指摘されたら何も言い返せないのだ。だから、そればっかりは勘弁してもらわないといけない。それからその理論で行くと、俺にはあと二人ほど責任を回収しなきゃならない相手がいる。
先のことを考えてため息を吐くと、二乃との距離がいっそう縮まった。いつだかにたっぷり堪能した柔らかさが一瞬だけ呼吸を乱すが、しっかり落ち着いて「あんまりくっつくな」と冷静な返答を選択する。
16:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:24:23.76 ID:gUiBlRD20
「卵が割れるだろ」
「必要経費よ」
「まだ未購入だってのに……」
それでも離れてはくれないらしくて、なおも腕をホールドされたまま、生鮮売り場やら野菜売り場やらを巡る。忘れかけていたがこれはそもそも我が家のための買い物なので、自分の目的物も手に取っていかなければならない。
17:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:25:06.56 ID:gUiBlRD20
「そういえばさ」
「なんだよ?」
「私さっき、あんたが大学行く前提で話しちゃったけど、そういうのって考えてるの?」
「問題のある仮定はそっちの方じゃないだろ」
「いや、これは割と真面目な話」
18:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:25:41.39 ID:gUiBlRD20
「知ってるとは思うが、ウチに俺を道楽で進学させられるほどの余裕はない」
「まあ、なんとなくはね」
借金は伏せてあるが、それにしたって切迫した懐事情については既にバレバレだ。そんな中、なんとなくで四年間も家の負担にはなれない。進学するなら、明確な理由が要る。
それが今の俺にあるかと問われれば、答えに窮する。『いつか役に立つように』は明確な理由足りえない。
19:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/29(火) 21:26:16.92 ID:gUiBlRD20
「だから、ギリギリまで考える。何をしたいかとか、何が出来るかとか」
「人の進路ばっかり気にして自分の将来設計がすっからかんなところとか、すごいあんたらしいわね」
「うっせ」
奨学金に頼ればどうにかならないこともない。だけど、それだって一応は借金の部類だし。
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