27: ◆TgtWYAjzAI[saga]
2019/02/06(水) 00:13:19.26 ID:ej8cSFHd0
精霊術師「はぁ、はぁ、みんな、ケガはない!」
お嬢様「精霊術師! 使用人が、使用人がぁ!」
お嬢様の悲鳴のような叫びに嫌な予感が走る。
見ると、使用人が腕を抑えてうずくまっていた。顔色も悪く、目も虚ろになっている。ただの疲労では考えられないほど呼吸も乱れていた。
精霊術師「まさか、毒に……」
使用人「不覚を、とりました……」
その言葉を最後に、使用人は倒れ伏した。
お嬢様「精霊術師、使用人治る!? 助けてくれる!?」
精霊術師「っ……」
大粒の涙をこぼしながら縋り付いてくるお嬢様に、何も言い返すことができなかった。
使用人の腕は紫色に変色し、傷口からはヘドロのような血液が流れていた。
お嬢様「ねえ! 私たちにかけてくれた回復の魔法、使ってよ! 使用人助けてよ!」
精霊術師(【萌芽の精霊術】。確かに解毒の効果も持った精霊術だけど、私の実力だと……)
精霊石を使えば実力不足を補えるかもしれない。そう考えたが、手に握った精霊石はいつの間にか美しい琥珀色を失い、濁った黄土色に変化していた。
精霊術師(すでに効果は失われているかもしれない。……でも、失敗したとしても、見殺しになんてできない!)
精霊術師「【萌芽の、精霊術】!」
今までになく力を込めて発動した【萌芽の精霊術】は――
――かつてないほどの効果を発揮した。
毒々しい色の肌は瞬く間に白皙を取り戻し、汗は引いて、呼吸は睡眠時のように落ち着いた。
使用人「……ん、私は?」
お嬢様「使用人! うわあああああん!」
使用人「わっ、……急に抱き着いたら、危ないですよ?」
お嬢様「心配させるほうが悪いのぉ!」
目尻に涙を浮かべながら抱き合う主従に、精霊術師は安堵のため息をこぼした。
ふと、手元の精霊石を見ると、元の美しい琥珀色を取り戻していた。
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