浅野風香『高峯のあの事件簿・佐久間まゆの殺人』
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4: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2019/02/20(水) 21:18:41.18 ID:Syf1tc1m0
前編 (〜58)



炎の記憶があります。

火事がありました。

火事があったみたいです。

黒い煙が上がっていました。

ちょうど、遊んでいて外にいたんです。

家族一緒にテレビを見ていました。

マンション近くの公園で、小さな山の上からそれを見上げていました。

わたしは、黒い煙の意味がわかりませんでした。

電話が鳴って、お父さんは急いで出て行きました。

悪い予感がしていました。

無事でよかった、と迎えに来たお父さんが言ってくれたんです。

事故じゃなくて事件だと言ってました。

ごめんなさい、とお母さんは言いました。

わたしは、その日のさよならの意味は後で知りました。

色々な人が離れ離れになりました。

行きたくなかったけれど、行くしかありませんでした。

今まで住んでいた部屋には戻れませんでした。

知らなくていいことがわかりました。

マンション火災は大きな被害が出てしまいました。

たくさんの大切な人が亡くなりました。

亡くなった人は戻らないけれど、残された人達は真実を求めました。

家族が、友達が、火事で命を落としました。

不幸な事故だったんです。

調べた結果、不幸な事故ではありませんでした。

……不幸な事故だと思えれば良かったのに。



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