浅野風香『高峯のあの事件簿・佐久間まゆの殺人』
↓ 1- 覧 板 20
5: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2019/02/20(水) 21:19:38.94 ID:Syf1tc1m0
ガス漏れ、荷物の散乱、防火に適さない安普請、それに不完全燃焼で燃え続ける断熱材。
火事が大きな被害を出した理由がどんどんとわかっていきました。
断熱材は毒ガスになりました、長い時間をかけて醸成された悪意のように。
亡くなった人の半分以上が中毒死だった、と書いてあります。
多くの人を逮捕したそうです。
火事を見上げる人達から、逃げるように去りました。
わたしは、その時は何もわかりませんでした。
火事の話は、私には関係ありませんでした。
火事を見上げる人達に交じり、同い年くらいの女の子がいました。
大切な人は無事でした。
火事の原因まで突き止めてしまいました。
ごめんなさい、と口に出さずに思いました。
わたしの大切な人は無事だったから、思うこともあるんです。
結果として、誰かの大切な人を傷つけてしまったのかもしれません。
誰かも、何を思っていたかもわからないのに。
月日が経って、あやまりグセがついていました。
やがて、私が大切な人を失う時が来てしまいました。
顔をあげずに、ごめんなさい、と繰り返していました。
あやまらなくていいように、してあげないと。
お父さんは生前に言っていました。怨みを残さないために強い心を持つんだ、って。
不幸なことも、逆怨みしたいようなことも、沢山ありました。
怨みの原因がなくなってしまえば、謝らずに新しい幸せを手に入れられるかな。
私も、お父さんみたいに、歯を食いしばって止められる強い人になれたかな。
たくさんたくさん謝って。
たくさんたくさん泣いて。
そんな私が手に入れた、手に入れることを赦してくれた大切な人達を。
私は決めました、大切な人達を守ることを。決めました。
序 了
228Res/302.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20