中野五月「あいまいでぃすたんす」
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142:名無しNIPPER[saga]
2019/03/09(土) 17:38:32.97 ID:IWZIoqEe0
軽く礼をした後、五月がこちらに背を向ける。彼女の姿が夕闇に馴染んでいくのをしばし見送った後で、時間を潰すために一度教室に行くことにした。忘れ物があるわけでもないが、理由なく入れる場所が意外と限られている学校において、自分が所属しているクラスというのはある種の気安さが感じられる。
こつこつと反響する自分の足音にそこまでの不気味さを覚えないのは、照明がしっかり灯っているからだろうか。暖房はケチる癖になぁ……とも思うが、暗いよりはマシ。この時期の負の想念の連鎖みたいになっている校舎内で、暗闇を一人歩く図太さはない。
誰もいない教室は、流石に消灯されていた。まあ、これはこれでいいかと思いながら自分に割り当てられた席に座り、なんとなく黒板を眺める。
乱雑に黒板消しを当てられているせいか、直前に実施された授業の内容がなんとなく読み取れた。一部文字が残っていたり、あるいはチョークの跡が消しきれていなかったりで、英語教師がここに立っていた過去が窺える。
残されたアルファベットから推測される単語や文章を頭の中で補足しながら、そこにあったのであろう授業風景を勝手に思い描く。面白味の欠片もない空想だが、時間を浪費するという点においては割と役立ちそうだった。今くらいは、脳みそを休めても許されるのだろうけれど。
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