中野五月「あいまいでぃすたんす」
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144:名無しNIPPER[saga]
2019/03/09(土) 17:39:39.92 ID:IWZIoqEe0
 一縷の希望としてあった、時間経過でみぞれが弱まるという可能性はバツ印。せめてもの救いとして悪化はしていなかったが、元の勢いが元の勢いなのでそこに感謝の心を抱くことはなかった。
 リュックを盾にして走り去る案もあるにはあったが、背中が冷えるので諦めた。どのみちどこもかしこも濡れるのだろうから、多少抗っても意味はない。時間当たりのダメージ率から考えると、走って帰った方がいいのには違いないが。
 そんなこんなで、意を決して踏み出す。足元がびちゃびちゃと跳ねて気持ち悪いが、贅沢を言っていられる場合でもない。長い間こんな環境に体を晒し続けようとは思えないので、出来るだけ早く帰宅しよう。体力勝負に自信はないから、きっとどこかで休憩することになるけれど。
 連日の疲労と体力不足のダブルパンチで悲鳴を上げる呼吸器を強引に黙らせて、規則的なリズムで駆けていく。本来なら、こういった場面で少ない体力を使い込んでしまうのは好ましくない。だが、後々にやってくるだろう身体的な不調とそれとを天秤にかけたとき、ここで使い惜しむという選択肢は取れなかった。なにせ、自分の面倒だけ見ていればそれで終わるというわけではないのだから。
 それらの面で、本当に厄介だと思う。受験は団体戦って絶対こういうことではないだろとも。
 だけれども、そのことについて思うたび、不思議と俺の中の負けん気が顔を出すのだ。もう少しだけやってやろうと、何度も何度も背中を押してくるのだ。
 あの五つ子たちと関わる過程で、自身の中枢が歪められてしまった。客観的に見て由々しき事態で、いずれ対処しなくてはならない案件なのは明白。……なのに、それを悪いことだときっぱり断言してしまう気にはなれない。
 根腐れ、とでも呼べばいいのだろうか。
 あいつらは、俺に水をやり過ぎた。
 重症度を見るからに、水は水でも砂糖水だった可能性もある。



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