中野五月「あいまいでぃすたんす」
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231:名無しNIPPER[saga]
2019/03/21(木) 20:00:35.15 ID:hStTkcAZ0
良くないことだと理解していて、階段を昇る彼らの後を追いかけた。屋上にたどり着いた二人にバレないよう自販機の陰に身を隠して、扉越しに聞こえてくる会話を拾う。
小慣れたテンポで繰り返される言葉のキャッチボール。その一投一投が、着実に自分の内側を抉ってくる。三玖が今現在立っている舞台に、自分が未だ昇れていないのを時間をかけてじっくりと理解させられる。
そのうちに足に力が入らなくなって、壁に背中を預けてどうにか体重を支えた。心臓が脈を刻む音が生々しく反響し、目も耳も全部塞いでしまいたくなる。
でも、直視したくない現実に限って積極的に提示してくるのがこの世界らしく。
一日一回。その単語の後に扉の向こうで展開された事象を思い描くのは容易かった。
先ほどまで途切れることなく続いていた会話がそのときに限って絶えたのが、全ての証明だったと思う。
その後は、記憶が千々に散ってよく覚えていない。どうにか二人に気付かれないよう体を丸めてやり過ごして、不在がバレないように急いで図書室に戻って。とにかく、必死だったことだけは確かだ。
なんで、あそこに立っているのが私じゃなかったんだろう。
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