中野五月「あいまいでぃすたんす」
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44:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:13:12.03 ID:3G9LR2BY0
「黙ったら黙ったで、私の言葉が刺さってるのが分かって嬉しいけど」
「そう言われたらとうとう打つ手がねーよ」
「打たなきゃいいんだよ。私はいつでも準備万端だから」
「一応聞いとく。何の準備だ?」
「嫁入り」
45:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:13:40.99 ID:3G9LR2BY0
「私をこんな風にした責任は、フータローにあるんだからね?」
「安直に病むな」
「……それは冗談としても、良いよね、お嫁さん」
「男だからその感情は分からん」
「お嫁さんって、女の子にとってはウェディングドレスのイメージだから」
46:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:14:17.36 ID:3G9LR2BY0
「一応仏教国なんだけどな、日本」
「フータローは白無垢の方が好み……?」
「そういう意図はない。ってかそれは神道だろ」
「神前式も趣があって良いよね」
「ここで歴女の顔を出すな」
47:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:14:46.76 ID:3G9LR2BY0
「バージン」
「なぜそこで区切った」
「バージン……」
「なぜ俺を見る」
「いや、もうあげちゃったなと思って」
48:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:15:14.20 ID:3G9LR2BY0
「まあいいや。誰かさんが私の憧れを叶えてくれるように、今からお祈りしておくね」
「それは脅迫って言うんだぜ」
「それでもいいよ。なりふり構う余裕がないもん」
外気は冷たいはずなのに、三玖はそれを感じる余地すら残してくれない。肌のふれあいと、それから心のふれあいでもって、さっきからずっと体が火照っている。
49:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:15:40.91 ID:3G9LR2BY0
「なあ、三玖」
「なあに」
「お前、将来の夢ってあるか?」
「フータローのお嫁さん」
「ノータイムで答えんな。……でも、そうか」
50:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:16:07.48 ID:3G9LR2BY0
「フータローには何かあるの?」
「……さあ、どうだかな」
「ないなら、見つけるのを手伝うよ。恩返しにね」
「恩なんか売ってねえよ」
「勝手に買ったもん」
51:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:16:36.79 ID:3G9LR2BY0
むにむにと頬を引っ張られる。その程度で、凝り固まった表情筋がほぐれることはないけれど。……でも、心の方には、ちょっとだけゆとりができた。
「……これじゃあ、どっちが先生なのか分かんねえな」
聞かれないように呟く。教え導く側がこんなんでいいのか全くの謎だ。
52:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:17:53.85 ID:3G9LR2BY0
何においても。終わった後に倒れこめそうにないから、余力を残しておかなければいけないけれど。それでもあと数か月で、今の俺に襲い掛かっている問題の大半は一応の解決を見る……ことになっている。今の段階では神のみぞ知ることだから、せめて上手く行けと願っておこうか。
ここからの自分の判断一つ一つが、未来の自分を作る大きな分岐点になる。まるで実感が湧かないが、悔いだけは残さないようにしないと。
「出来る限り、私も協力するから」
「なら、この腕をほどくところから始めてくれ」
53:名無しNIPPER[saga]
2019/02/21(木) 22:18:20.47 ID:3G9LR2BY0
空に浮かぶ星を見上げながら、肺にたまった空気を吐き出す。こういう甘えたやり取りをしていられるのも、おそらく今が最後だ。
何を選ぶにしろ、選ばないにしろ、きっと円満な解決法なんて存在しない。大団円はどこにもない。
それならそれで、俺にお似合いの結末のように思う。自分の分を超えた行いだったと考えれば、意外にすんなり受け入れられる。
どんなことになろうとも、その顛末は全てこの身で受け止めよう。自分で引いてしまった引き金なのだから、面倒を最後まで見切らないことには話にならない。
当然の帰結。当たり前の責任。それを超えた先に、待っていてくれるものはあるのだろうか。
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