【モバマス】 和久井留美「富士そばには人生がある」
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14:1[sage saga]
2019/02/22(金) 12:31:55.42 ID:+K0KOsmIO

(――いいスイングしてるな)


 マシーンの起動音に合わせて、いつかの情景が脳裏で投影される。


「……くそっ!」


 諸々の記憶と、情けない自分を振り払うようにスイングするが、空振りやファールの連続で嫌気が差す。


(腰と膝を落として。スイングは腕じゃない、下半身でするんだ)


 分かってるわよ――誰かの言葉を拭い去るようにスイングすると、ライナー性の打球が右方向に鋭く飛んでいく。


(タイミングが遅い! ボールをよく見て、タイミングはもうちょい前だ!)


 ライト方向の打球、マシーンに差し込まれている。振り遅れていることは分かっている。ボールをよく見ろ。


(九回の裏、ツーアウト満塁! 君の一本でサヨナラだ!)


 分かってるわよ――マシーンの投球が真ん中からややアウトコースに逸れる。




「ホームラン! ホームラン! おめでとうございます!」




 先程のタイミングを修正しやや早めにスイングした。自分では早すぎたと思ったが、芯を捉えた打球は鋭く、ライナー性でセンター方向へ。右方向へ斜めに曲がっていった打球はそのまま「ホームラン」と記された枠組みの中へ吸い込まれていった……。


「嘘……」


 打球は枠組みの中へすっぽりと入り、その後にホームランを知らせる機械的なアナウンスが。


(やるじゃねぇか。今日から君は『ホームラン女』だ!)


 客もまばらなバッティングセンターにアナウンスが響く。少し恥ずかしい。
 いつか誰かが言った言葉がリフレインのように何度も再生される……。






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