【モバマス】 和久井留美「富士そばには人生がある」
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23:1[sage saga]
2019/02/22(金) 13:01:18.14 ID:+K0KOsmIO

(そして、これよ……!)


 ここで、辛うじて原型を保っていたコロッケをボロボロに崩す。
 なんだかもったいないような気がするけれど、これも「楽しみ方」の一つなのだ。
 くたくたになったコロッケと、グダグダになったコロッケは堪能した。後は、全てを崩して一緒くたにしてしまう。
 これこそ、コロッケうどんの真骨頂。鍋料理でいうシメである。

 崩れてボロボロになったコロッケのかけら。それが少なくなったつゆに混ざって、シメの雑炊のような形となる。
 コロッケうどんの全ての味がこのかけら一つ一つに完全に浸透しているのだ。濃縮されているのだ。
 そんなコロッケのかけらが、残ったうどんと絡み合い、更にそこへ……。


(七味をかける……!)


 ああ、これで全ては整った……。
 決して褒められた行為ではない。そんな、「ザ・底辺」といった様相の丼。
 だけど、これでいい――むしろ、この為にコロッケうどんはあるのかもしれない。
 これが意中の男性の前であったなら……。しかし、今はそんなことはどうでもいい。


(これでいいのよ……!)


 華々しい夢はなくとも、最悪な見栄えでも――それを必要とする誰かがいるなら。


「……ッ!」


 そして、残ったうどんを一気に啜る……啜る。


(白飯、白飯が欲しい……!)


 不覚。目の前にあるのはカツ丼。
 カツ丼も美味しいけれど、この楽しみ方があるなら白飯にすれば良かった。というか、富士そばには単品ライスがなかったかもしれない……。
 後の祭り――カツ丼を頬張る。美味しいけれど、カツ丼のカツが邪魔に思える日が来ようとは。


(よし、ラストスパートよ!)


 残り僅かとなったコロッケ雑炊うどん(意味不明)とカツ丼を一気に平らげ、最後のビールで総仕上げ。


「……ごちそうさまでした」


 空になった器をぼーっと見つめながら呟く。
 幸福の余韻が続く……。この地球上に、これ以上の幸福があろうか。
 誰かの目にはみすぼらしく映るかもしれない。けれど、他人の幸福が自分のそれじゃないように、私には私なりの幸せがあるのだ。
 誰がなんと言おうと、これは私の幸せなのだ。その権利は誰にも奪わせない。






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