【モバマス】 和久井留美「富士そばには人生がある」
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25:1[sage saga]
2019/02/22(金) 13:07:46.64 ID:+K0KOsmIO

 状況はどうだい 僕は僕に尋ねる 旅の始まりを今も思い出せるかい 




「……」


 少し手持ち無沙汰な感覚がやってきて、私はスマートフォンの音楽を漁る。
 イヤフォンを装着し、結局ランダムで音楽をかけた。


(こういう時に限って、好きな曲が一発目に来るのよね……)


 長らく聴いていなかった、ずっと好きだったあの曲が一発目でかかる。


(そういえば、今年の某駅伝大会のCMソングにも選ばれていたわね)


 名曲は色あせない。曲は一人一人の人生と共にある――イントロの一発目から様々な感情が蘇り、いつかの思い出が鮮明に投影される。
 車道を行き交うヘッドライトが走馬灯の役目を果たし、私という物語がぶつ切りとなってスライドのように切り替わっていく……。
 こんな名曲のように、誰かの思い出の中でずっと、そっと、生きていけたなら……。

 名曲は、それそのものが永遠の命だ。


「ここは――」


 20号を歩いていると、すぐ横に現れる新宿御苑。


(そういえば、ここで撮影したこともあったわね)


 もとは皇室の庭園だったこの場所は、今や日本だけではなく世界的にも有名な観光地となっている。
 私がまだアイドルになりたてだった頃、そういえばここで雑誌用の撮影をしたんだっけ……、
 あの時は確かあいにくの雨だった――けれど、「雨の御苑もなかなか乙でしょ」などとあの男は言っていたっけ。
 あの撮影を皮切りに、様々な物事がスタートした。



 選んできた道のりの 正しさを祈った



「四谷ね……」


 白い息が上がり、瞬く間に霧散する。
 御苑の横を通り過ぎ、四谷に入る……。この時間帯、都心と言えども繁華街を過ぎれば人通りもまばらになる。
 そのまま四谷の街をひたすら歩く、歩く……。たまに通り過ぎる人はみな足早、仕事帰りだろうか。
 そんな人たちを横目に、私は行き場所も知れずただ歩く。






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