3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:26:50.89 ID:hQC3TSV30
彼女と出会ったのは、5月頭の、雨上がりの曇り空が重苦しい夕方だった。気圧が低く、かつて手術した膝が痛んだのを今でも覚えている
俺はとあるアイドルプロダクションのプロデューサーとして働いている。担当するアイドルは八神マキノと綾瀬穂乃香。
それから、白菊ほたる
ほたるは他の二人よりも後に担当することになった。他の事務所から移籍してきたらしい。
「あの、その……これから、お願いします……」
か細い声だった。13歳だし気弱そうだし、そういうタイプの女の子なのかと思った。しかし、そんな女の子がアイドルを志すのは珍しくないので不思議とは思わなかった
アイドルとは、輝いている存在である。老若男女を分け隔て無く虜にする偶像であり、いつの時代だって憧れられる存在なのだ
そんなアイドルになる――変身願望とでも言うべきなのだろうか、今の自分とは違う自分になることを望むような人がアイドルになることなんて、この世界にはありふれた話だ。
だから不思議とは思わなかったし、だからマキノや穂乃香とは少し接し方を変えなければならないとも思った
「今日から私が白菊さんのプロデューサーとして担当させていただきます、よろしくお願いします」
表情をくずし、彼女に右手を差し出した。しかし彼女はうつむいたままで、私の手には応えなかった。しまった、最初から距離を詰めすぎたか。
俺は右手を引っ込めて、代わりに話題を差し出した
「先輩から聞きましたが……他の事務所から移籍されたそうで。あなたのことを知りたいし、少しそこら辺のお話を」
伺っても、と言う前に。彼女はうつむいた顔をより一層悲しくさせた。
失敗した。デリケートな部分に突っ込んでしまったか
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