7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/02/26(火) 03:29:06.87 ID:hQC3TSV30
今にも泣き出しそうなほほたるに、何を言えば良いのだろうか。彼女の過去を知ったが、それはあくまで聞いた話であって、実際に体験した彼女より知っているわけじゃない。
だから、彼女について適当なことは言えない。「疫病神じゃないよ」とか「事務所は元々倒産する予定だったんじゃない?」とか、そういうことは絶対に言えない。
そして、無責任なことを言うつもりもない。だから
「迷惑じゃない、大丈夫だ。だから……俺を信じて欲しい。俺も君のことを、どうなろうと信じるから」
としか言えなかった。
すると、彼女は堰を切ったように涙を流し始めた。
「……信じても……良いんですか? 信じる権利が……私にも……」
素っ頓狂なことを。信じることに権利なんか必要ないだろうに。
彼女は目元を手で拭っている。俺はそんな彼女の前に手を差し出した。
「ひぐっ……触ると、不幸がっ、ひっく、移って……」
「かまうもんか」
触ったくらいで移る不幸なら、跳ね返してみせる。
涙が付いた右手を握ると、暖かいことが分かった。これまでアイドルだった彼女の、これからアイドルになる彼女の意志が伝わった気がした。
初めて彼女が笑うのを見た。困ったような笑顔だった。美しい笑顔だった。
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