R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part2
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128:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/04/15(月) 07:46:36.23 ID:WQma/tMX0


私たちの神は、間違いなく本物でした。

神を敬い讃える人々はずっと昔から、神から賜る恩恵により豊かな暮らしを送っていました。

母の故郷の村も同様で、村人は皆幸福に日々を過ごしていたのです。

畑は毎年豊かな実りを約束して。

飢えることも渇くこともなく。

流行り病で苦しむような者は誰一人いない。

しかしその豊かさは決して、無償で与えられるようなものではありませんでした。

あの豊かな暮らしは全て『対価』あってのものだったから。

そう、対価を…『捧げて』いたからこその…幸福だったのです。



対価とは…村人の命でした。



村では年に一度、神託によって選ばれた村人を『供物』として捧げており、その対価として村人たちは繁栄を謳歌していたのです。

儀式が行われるのは村の地下に作られた祭壇の間。

決して広いとは言えない空間の中、しかし高級な石材で組まれたその場所は小さいながらも立派な神殿を思わせる雰囲気がありました。

その神殿のような場所の奥には細かくも奇怪なレリーフの彫り込まれた荘厳な扉があり、その扉の中こそが神が降りてこられる場所であると私は聞いていました。



神官である私は毎年この儀式に立ち会って一部始終を見守っていました。

初めて儀式に立ち会った時のことは、今も脳裏に焼き付いて離れません。

一糸まとわぬ姿の少年が、我らの手を取り、

「私はこれより神の御許へと参ります」

そう口にしました。

彼こそ我らの『神託』によって選ばれた、神への供物でした。

我らは彼に祝福と賛辞の言葉を送ります。

「おお ―よ。 貴方の献身により、我らはまた一つ神の愛を得る」

「同胞よ、貴方の魂は神の寵愛に抱かれ、限りなき栄光の中で永遠の安息へと至るであろう」

酔いしれるような、神官たちの言葉に見送られて。

少年の姿が扉の向こうへと去りゆき、しばらくの時間が経つと―

扉の向こうから聞こえてくるのです。

ずるずる、ぐしゃぐしゃと、何か大きなものが這いずるような音が。

そしてそれに重なるように、歓喜とも恐怖とも区別のつかぬ絶叫が響き渡るのです。

老いた神官たちはまるで陶酔するかのような表情でその悍ましい音に聞き入っているようでした。

私は湧き上がる恐怖心と嫌悪感に必死に抗いながら、悪夢のような時間が終わるまで…無表情を装い続けました。

その後、私は儀式の終了と再び一年間の神の加護が約束されたことを村人たちに伝えました。

同時に、自分自身にも言い聞かせていたのです。

これが村の幸福の為なのだ…と。

我らの神を信仰していない他の村々は今も飢えや渇き、病に苦しめられていると聞きました。

だから実際、豊かに暮らす村人たちの姿を見ているうちに。

皆の豊かさのために一人が犠牲になることは仕方がないことなのではないか―

私の心に次第にそのような思いが膨らんでいたことを否定することはできません。

しかし―私のその思いを、そして信仰を…全てを覆すような運命がこの先に待ち受けていたのです。

それは私が村の神官としての役割に就き、3年目を迎えたある日のことでした。


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