170:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/20(土) 15:04:34.29 ID:e2KAc5lx0
†
久しぶりの帰国が決まったのは、いよいよ本格的に夏が始まろうという時期だった。
俺と母さんは、かつての国名を冠するガラス工芸で有名な、海上の街に滞在していた。
そこは彼女が喜びそうなお土産であふれていた。
聞いたところによれば、彼女はまもなく夏休みに入り、地元に戻るらしい。
ちょうど、俺と母さんが父さんの家に帰る頃と重なる。
会う約束をすることは、そう難しくないだろう。
だが……と、子供みたいなイタズラ心が湧く。
何も知らせないで会いにいくのも面白いかもしれない。
たとえば、街中でいきなり声を掛けたら、彼女はどんな反応をするだろう。
そう、想像を巡らせた、そのときだった。
《――かけるくん?――》
彼女の柔らかな声が、海からの風に乗って耳に届く。
周りを見回すと、きらきらと光を反射する街角のショーウインドウが目に入る。
大きな瞳を丸くして、ちょっと間が抜けたような顔で振り返る透子の姿が、映った気がした。
《Pieces of glass like a star slipped over the sky――GLASSLIP End.》
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