15:名無しNIPPER[saga]
2019/06/23(日) 12:36:49.88 ID:HvNgfAEDO
「あー、それ悩んだんだよねー、結局いつものうすしおにしちゃったんだけど」
まるで苦渋の決断だったとでも言わんばかりの口調に、俺は少しおかしくなって、緊張がほぐれる。
だから、するりと、ゆるんだ脳みそから言葉がこぼれ落ちてしまう。
「よかったら、いる?」
言ってから我にかえる。喉元まで羞恥が込み上げる。北条加蓮はぽかんとして俺を見ている。
その目でもうトレーごと置いて逃げ出す覚悟を決め、立ち上がりかける寸前、
「……え、いいの? ホントに?」
まるで金塊渡されたみたいな顔で言う。いやそんな信じられないみたいな顔するほど重大なことか?
「ここ、ここに入れてっ。二本でも三本でも大丈夫だよー」
言うが早い、まるで俺の心変わりを恐れるように、ポテトの空箱を差し出してくる彼女。そのしなやかな腕の流線形に、見惚れながら、慎重に、何本かもわからないあさりバターを掴む。
からん、と、乾いた音が、満員の店内で、やけに大きく聞こえる。
「……ちょ、もういいよ? 食べる分なくなっちゃうよ?」
気がつけば10本以上献上していたようで、その声に顔を上げると、満面の笑みが俺を出迎えた。
「えへへ、ありがと」
そして、微笑みにうつろった唇が、さっきまで俺が握っていたポテトを、嬉しそうに咥えた。
来世はポテトがいいと、切に願った。
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