クラリス「貴方様と赤い葡萄酒を二人で…」
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11:名無しNIPPER
2020/02/03(月) 23:36:46.43 ID:MEl38wfp0
ふと、時計を見る。
結構時間が過ぎていた。テーブルの上に並べられていた料理は、もう残り少ない。

「…」

途中、隣に来たクラリスさん。少しずつ近づいてきて、今はもう肩が振れそうなほどに近い。

「…」

お互いに、何も言わない。室内には時計の秒針の音だけが響く。

体の横についた右手は、少し動かせば、クラリスさんの左手に振れてしまいそうだ。

「…ワイン、美味しかったですね。」

クラリスさんが口を開く。ふと彼女の方を見ると、彼女は前を向いている。
ほのかに紅く染まった頬と、その整った横顔は、酔っているせいだろうか、やたらと扇情敵に見えた。

「…そうですね。今度、お礼を言っておきます。」

クラリスさんの顔から、目を離す。これ以上見つめていたら、変な気でも起こしてしまいそうだった。

「…」

「…」

ふと体制を変えようと手を動かした。

「ぁ…」

彼女の手に触れた。指が僅かに触れただけ。それなのに、妙に鋭くなっていた感覚は、クラリスさんの手に触れたということを、脳内に叩きこんでくる。

「…っ」

「ぇ…?」

彼女の、小指だろうか、指が俺の指に触れている。ほんの僅かに絡みついているようにも感じる。

横目にそちらを見ると、確かに、クラリスさんの小指が俺の小指に触れている。

「…」

少し、何故かほんの少しだけ、もどかしくなった。

指を動かして、さらに他の指も絡ませる。

冷たく、柔らかいクラリスさんの手の感触に、少しずつ自分の中で何かが崩れていくのを感じる。

「ぁ…」

クラリスさんは、俺の手を外すことは無かった。むしろ、絡めた指に少し力をこめてきた。

「……手、冷たいですね。」

「…はぃ」

「…寒いのでしたら、もっと、こっちに寄りますか?」

「………はい…」

クラリスさんの消え入りそうな返事。少しだけ距離を詰める。手は外さない。肩が触れる。

「…」

「…」

再び部屋に流れる沈黙。



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