12:名無しNIPPER
2020/02/03(月) 23:37:15.18 ID:MEl38wfp0
「…」
「っ」
ふと、クラリスさんの手に力が入ったのを感じた。
それは何か、呼ばれたような気がして、顔を彼女に向ける。
目が合う。彼女も、こちらを見ていたようだ。
「…クラリスさん…」
「…P…様…」
少しずつ、ほんの少しずつ、お互いの顔が近づく。
心臓が体の中で暴れまわってる。前に見た映画みたいに、胸を突き破ってでてきそうなほどだ。
「…っ」
お互いの顔が、少し斜めに傾く。
この方が、しやすいから。
「ん…」
「んっ」
彼女の唇は、ワインの薫りがした。
「はぁ…」
顔を離して、彼女の顔を見る。
紅潮した頬。ほんの少し開いた薄い桜色の唇。整った目鼻立ちに、涙の溜まった瞳。
美しくて、儚くて、酷く、劣情を煽る。
「……しちゃい…ましたね…///」
微笑む彼女。
「…そうですね…」
答える俺。彼女から目が離せない。
「…初めて…だったんですよ?」
「っ…そうなんですか…」
男というのは、どうしてこうも単純なのだろう。
初めてだと、伝えられただけで、頭が熱くなった。
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