12: ◆Try7rHwMFw[sage]
2020/02/11(火) 09:30:23.26 ID:nsWu7yYrO
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「……ふう」
私は面を取ると、頭の手拭いを外し一息付いた。むわっと湯気が面から立ち上るのが見えた。
「しずくー、お疲れー」
「あ、うん。お疲れさま」
右から佳代ちゃんが声をかけてきた。いつもニコニコしていて、誰からも好かれる子だ。
「しずく、これからどうする?いつも金曜は、『プティ・アンジュ』だよね」
「うん。あそこで勉強してから帰るよ」
佳代ちゃんが手拭いで汗を拭いた。
「あそこって、しずくちゃんのお兄さんが働いてるんでしょ?私も一度行きたいなあ」
「だーめ。そもそも、佳代ちゃんちって逆方向でしょ?」
「そうだけどさあ。『プティ・アンジュ』って、『パクログ』で4点台でしょ?
スイーツ好きJKとしては行っておきたいんだよぅ」
「今日はダメ。というか、佳代ちゃんの目当てってお兄ちゃんでしょ」
佳代ちゃんが口を尖らせた。
「ちぇっ、バレてた」
「んふふ、そんなのお見通しだよ。それに、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだもん」
「相変わらずブラコンだねぇ」
「いいの、ブラコンで」
佳代ちゃんはお兄ちゃんに一度会ったことがある。お兄ちゃんは顔はいいから、多分気に入ったんだろう。
でも、私は佳代ちゃんをあの店に連れていくつもりはない。
佳代ちゃんは誰からも好かれる。おっぱいも私より大きくて、しかもかわいい。
お兄ちゃんが佳代ちゃんを好きにならない保証なんてないのだ。
そして、もしそうなったら……
「……しずく、何ちょっと怖い顔してんの?」
心配そうに佳代ちゃんが覗きこんできた。私は「ううん、何でもない」と作り笑いする。
面を小脇に抱え、ゆっくりと立った。
「お兄ちゃんが待ってるから。先に上がるね」
「うん、またね」
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