36: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/02/13(木) 19:18:30.08 ID:EMELD1FFO
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「あ、しずくちゃんだ!!」
佳代ちゃんがぶんぶんと手を振る。その横にはコナン君が大きな紙袋を持って立っていた。
「早いわね。少し時間があると思ってたんだけど」
「えへへ。でも、コナン君の方が先に着いてたよ」
照れ臭そうに、彼が頭をかく。
「えっと、こういうの初めてだから……あと、ママからいつものお礼だって」
ぐい、と紙袋を渡された。中には高級ホテルのローストビーフやスープのレトルトがある。
「しずくお姉ちゃんのお兄ちゃんって、お菓子屋さんでしょ?だから、こっちの方がいいんじゃないかって」
「あ、ありがとう。すごく助かるな」
これは本音だ。お兄ちゃんは家に帰るとすぐにしたがるから、あまり凝ったものを作れないのだ。
どうしてもシチューやカレー、煮物みたいに作りおきできるものばかりになってしまう。
「じゃ、行こ?しずくちゃんの家、中1の時以来だなあ」
家は駅から徒歩5分の所にある。自慢じゃないけど、家は結構広い。
「家にお姉ちゃんのパパやママもいるの?」
コナン君の台詞に、私たちは固まった。佳代ちゃんが苦笑いしながら口を開く。
「あのね、しずくちゃんのお父さんとお母さんは……いなくなっちゃったの」
「え?」
「……どう説明すればいいかな、しずくちゃん」
「私に聞かれても分からないよ。私が知ってるのは、1年前に旅行に行ったきりってだけ……それ以来、お兄ちゃんと2人暮らしなんだ」
「……そうなんだ。1年前?」
「あ、うん。そう」
コナン君は「そっかあ……ごめんなさい」というとしょんぼりしてしまった。
それでいい。これについて、私から話すことは何もない。
やがて、白い壁と赤い屋根の家が見えてきた。あれが、私とお兄ちゃんの家だ。
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