白石紬「う、うちがセクハラに弱すぎ……?」【R18】
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5: ◆FreegeF7ndth[saga]
2020/03/20(金) 23:13:58.75 ID:0kmcNV+Co

※04

 そうしてプロデューサーは、私のことをじろじろ眺め続けています。
 二人きりなのを良いことに、そりゃあもう無遠慮に。視線で肌がくすぐったくなるほどに。

 確かに、じろじろ見つめてくるのはセクハラのなかで一番よくあるパターンのようです。
 美希さんは、痴漢を想定していたのか、いきなり手で触ってくるシミュレートを行っていたようですが。

「……そんなに見つめていても、穴など空きませんよ」

 プロデューサーは椅子から立ち上がって、同じく立ち尽くしている私の周りを、
 360度うろうろと歩きながら、私に視線を向けたり反らしたりするようになりました。
 何も言わずに。私もしゃべることがなく、二人とも黙ったまま。
 他に誰もおらず、電話さえ鳴らず、窓やドアの外の気配も消えて、空調ぐらいしか聞こえません。

 ……そういえば、うち、何の準備もしないまま、ここへ来てしまった……。
 レッスン上がりやけど、身繕いがあてがいになってたら……汗の匂い、してるとか。

 そういえば服も、水引きも、普段づかいの代わり映えしないもの。
 もしかして、どこか、よれてたりしてるとか……
 うぅ……うち、呉服屋の娘やんに……下着も、きょうに限って、朝とっさに手に取ったんで、
 もう何を着たのやら、よう思い出せん……ワンピースが白だから、最低限、透けにくい色にした覚えはあるけど……

 って、なぜ下着を気にしなければならないのですか!?
 いけません。『穴が開く』とか独り言ちたせいで、こんな雑念が。

 プロデューサーは、しばらく私の背中を見つめています。
 『紬の後ろ姿を見るときは、たいていステージ衣装だから。普段着は珍しくて』……見世物のつもりですか?
 言葉ばかりか摺り足の足音まで聞かせて、後ろにいるぞ……と、聞こえよがしに……。

 ステージ衣装であれば、メイクさんや衣装さんのチェックもあり、
 また自分でも姿見でちゃんとしているか確認できますが、普段着ではそうはいきません。
 どこかおかしなところ、あったら、うち、恥ずかしくて……
 かといって、『私の後ろ姿はどうですか?』なんて、聞けんし――

「――えひゃぃいっ!?」

 あ……い、いま、あたま、ぞくぞくって……うち、なんのこえ、だしとるん……

「ぷ、プロデューサー、ですよね……?」

 頭の、髪の毛を、さーって……幽霊に触られたかと思ったじゃないですか!
 ……そ、そうです。私がつい変な声をあげてしまったのも、怖かったからで、その……

「かっ、髪は女の命ですっ! そっそれを、そのような、無遠慮にっ」

 私はその続きを噛み殺しました。
 ……セクハラなどという無神経な問題を起こす人間に、無遠慮がどう、などと。
 詐欺師に向かって「嘘つき」と罵るぐらい不毛でした……。

「……『紬の髪が、きれいだから』……あんた、まさか私の髪以外は……」

 反語を口走ろうとして、また私は口をもごもごさせてお茶を濁します。
 賛辞を素直に受け取れない悪癖、治ってきたと自分では思っていたのですが。




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