107:毎度下3だときついかな ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/09(木) 17:12:52.29 ID:jxmPZB6W0
「おいで」
私は少女に手を差し出した。
「どこに…?」
「おじさんのお友達のところだよ。大丈夫」
「…」
少女は暫く、逡巡するように俯いたが、やがて私の手を取って立ち上がった。
そのまま、手を繋いで歩き出す。
「お母さんは、何の仕事をしているのかな」
「…しらない」
首を横に振る。
「お父さんは」
「いない」
「そうか…」
どうやら、シングルマザーのようだ。単純に仕事が忙しいのかも知れないし、誰か男がいるのかも知れない。
私はこの前と同じ自販機の前で立ち止まると、温かいココアを買った。掌で少し熱を取って、差し出す。
「あげるよ。春とは言っても、夜はまだ寒い」
「…ありがとうございます」
少女は受け取ると、遠慮がちに口を付けた。
…
「あ、こんばん……っ、ちょっ、長官!?」
交番の奥から出てくるなり、先日の若い警官は雷に撃たれたかのように竦み上がった。
「どっ、どうされましたか!? …そ、その子は」
「この前の娘だよ。この間は家まで送り届けたが、どうも昨日から親が家に帰ってこないらしくてね」
「はぁ…」
間の抜けた声で返事しながら、彼は少女の前にしゃがみこんだ。
「こんばんは。お嬢ちゃん、一人なの」
「…」
少女は硬い顔で、私の後ろに隠れる。
「怖くないよ、おじさんのお友達だ」
「児童相談所に連絡してきます!」
警官は勢い込んで言うと、奥に走って行った。
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