208: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/12(日) 17:56:29.26 ID:AHJFzVqd0
考えた末、再び席についた。それから、ノートを閉じる朱音に向かって、質問してみた。
「ここの暮らしは、どうだい」
「…えっと」
「まあ、まだ何とも言えないか。…前の家では、どうだった」
「! …」
その瞬間、朱音の顔が強張った。
「『前の』親は」
「あなた」
不意に後ろから、鋭い声が飛んできた。振り返ると、妻が硬い顔で立っていた。
「この娘の親は、あたしたちよ。前も後も無いわ。分かりましたか?」
「…ああ」
朱音に向き直り、頭を下げる。
「悪かった」
「…」
少し、表情が和らいだ。私は額を手の甲で拭うと、さっさと話題を切り替えた。
「学校はどうだね。友達は」
「ん…」
俯いて、考え込む朱音。
「いつも一緒に遊ぶ相手は? あんまりいないのか」
「…ん」
小さく頷く。
「それは寂しいな。…」
視線を上げると、皿を片付ける家政婦が目に入った。
「今度、明香を連れてきましょうか」
「それはいい考えだわ!」
「良い時にでも、合わせてあげよう。…友達ができるよ」
朱音は困惑したように、目をぱちくりさせた。
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