323: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/19(日) 15:41:02.75 ID:Kh3sFDp50
風呂上がり(今回は別々に入った)、寝る前の時間で朱音に勉強を教えることにした。
「5の10倍は…」
「50…」
「そう。前より分かるようになってきたね」
照れくさそうに頷く朱音。私は、まだ少ししっとりとした頭を撫でた。
「朱音ちゃんは賢いもの。ねえ?」
「…ん」
「じゃあ次の問題も解いていこうか。211の100分の1は…」
…
9時を過ぎた所で、切り上げることにした。
「お疲れ様」
「ありがとうございました」
そう言うと朱音は、黙ってもじもじとし始めた。
「朱音?」
彼女は深呼吸すると……やがて、震える声で言った。
「…お、お父さん、お母さん…」
「!」
「おやすみなさいっ」
朱音はそう言うと、逃げるように階段を駆け上がっていった。
振り返ると、妻が呆然と朱音の立っていたところを見つめていた。
「あ、あなた…」
「ああ」
妻は、ぽろぽろと涙を零し始めた。
「聞いた? あの娘、あたしたちのこと、お父さん、お母さんって…あなた!」
「ああ、聞いたよ…」
「ああ、ああ…あの娘が…やっと…」
「良かった。良かったなぁ…」
私たちはしばらくの間、抱き合って涙を流した。
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