387: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/21(火) 21:24:01.17 ID:4VZkZZO50
やるなら徹底的に。
妻も朱音も寝静まった深夜、私は一人で件の繁華街に来ていた。
「…」
客引きの勧誘や、酔っ払いの怒号を聞き流して進む。光の当たる表通りを歩く内は安全だ。だが、私の目的はそこではない。
真っ暗な路地に入る。先日、ヤクザの下っ端が立ちんぼを恫喝していた、例のアパートの近くだ。
私は周囲を軽く見回すと、アパートの階段に腰を下ろした。それから携帯電話を取り出し、電話を掛けた。
…
10分ほど経ったところで、一人の男がいそいそと走ってきた。
「! 御大、お待たせしやした」
「うん」
私は立ち上がると、男に付いて歩き出した。
…
辿り着いたのは、入り口の分かりにくい一軒のバー。テーブル席に向かい合って座ると、男は声を潜めて尋ねた。
「…それで、今日はどういったご用向きで」
「神鷹会は、結局どっちが継ぐのかね」
「っっ……い、今の所…」
男は何度も周囲を窺いながら、ぼそぼそと言った。
「予定通り、若頭になりそうで…へえ、もうすぐ決着しますんで、これ以上カタギに迷惑は」
「そうか。なら、良い。本題はそっちじゃない」
「はあ…?」
私は、テーブルに身を乗り出した。
「ちょいと、悪戯に付き合って欲しくてね」
「悪戯…? どいつに?」
「驚くなよ。…10歳の女の子だ」
「はあっ?」
男は、怪訝な目で私を見た。
「もしかして、最近引き取られたとかいう娘さんの」
「ああ。学校で、そいつに虐められていてね。お灸を据えてやろうと思うんだ」
「なるほど…」
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