452: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/24(金) 21:44:47.64 ID:1RlD8NGF0
…
細い路地に停められたバンの中には、警察官の制服に身を包んだ厳つい男が4人、縮こまるように収まっている。私がドアを開けて中に入ると、その中の一人がさっと背筋を伸ばした。
「御大、わざわざどうも」
「折角と思ってな」
バーで話した男の他に、彼が見繕った下っ端が3人。ヤクザも警官も、見てくれはそう変わりない。服だけ変えてしまえばこの通り、歴戦の警察隊に見える。
さて、時刻は午後4時過ぎ。授業を終えた小学生たちが、次々に校門から出てくる。人の波が去ってしまった後で、ぽつぽつと遅れて出てくる生徒たちの中に、見つけた。
「では、行こう」
「押忍!」
5人でバンを出て、正門へ走る。
「見つけたぞ!」
「八島絵里!」
「…はっ?」
いきなり名前を呼ばれて、絵里はぎょっとしてこちらを見た。そして次の瞬間、こちらに背を向けて走り出した。
「待てっ!」
「逃がすな!」
駆け出す男たち。他の小学生たちが悲鳴を上げ、飛び退く。
「クソ、クソ、クソっ! 意味分かんねえっ!」
悪態を吐きながら走る絵里。しかし、所詮は女子小学生。あっという間に追いつかれ、肩を掴まれた。
「離せ、離せクソッ!」
「やあ」
私は、暴れる彼女の前に立ち塞がった。
「! この間のジジイ…」
「君を逮捕しに来た」
「はーあー!? 馬っ鹿じゃねーの? アタシまだ10歳! 警察に逮捕なんて」
がしゃん。手錠のかかる硬質な音が、彼女の戯言を遮った。
絵里の顔が、青褪める。
「は…? 何で」
「傷害罪、窃盗罪、器物損壊罪、名誉毀損…ついでに公務執行妨害の現行犯だ。…連れて行け」
「はっ。……ほら歩け!」
「あ…あ…」
絵里が、絶叫した。訳も分からぬ罵詈雑言を魂の限り吐き散らす彼女の頭に、分厚い上着を被せると、男たちは路地に戻り、バンに乗り込んだ。
バンが、音もなく走り出した。
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