544: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/27(月) 21:13:36.53 ID:LiyV2qLE0
___そうだ。このざわめきは、決して気の所為ではない。
私は執務室に入ると、すぐに3人の秘書を呼んだ。
「少し、調べて欲しいことがある。先日新興した、関東猪狩組についてだ」
内容は、大きく2つ。一つは、新たに組長となった男の身辺。もう一つは、例の少女がいるというアパートについて。
男の素性は、もう分かっている。彼は神鷹会先代組長の嫡子、それも次男の方だ。先月先代が死んで、若頭が次の組長になるはずだったのだが、彼は異議を唱えた。先代の実子である自分こそが組長に相応しいと言い出したのだ。
なら、長男は何処へ行ったとなるのだが、そこが問題だった。次男坊が組長候補に名乗り出る少し前に、長男は謎の死を遂げた。何なら、先代の死もただの老衰と言い切れない雰囲気があっただけに、組は2つ、正確には8対2くらいに割れた。そうしてこの間まで、血で血を洗う壮絶な闘いが続いていたわけだ。
結果的に次男坊は、新しい組の長への就任という、体の良い追放処分を受けたわけだが、どうやら彼は折れていないようであった。あんなふうに私に根回しまでして、自分の組を盤石にしようとしていた。おそらく、裏でまだ何か手を回しているような気がする…
…
終業間際になって、秘書からの報告が入った。
「猪狩組については、今の所特に怪しい情報は入ってきませんでした」
秘書の一人が言う。
「1つの繁華街を根城に、細々と商売をやっているようです」
「お話されていたアパートですが」
別の秘書が、一枚の写真を差し出した。
望遠レンズで撮られた写真には、カメラをぶら下げた一人の男が、ゴミ捨て場の陰に隠れているのが写っていた。
「入り口に、このようにカメラを持った男が数人潜んでおりました。何を狙っているのか分かりませんが…」
「そうか」
私は、内心で冷や汗をかいていた。危なかった。あの男が握っていたのは噂話程度だったのだろうが、のこのこ出向けば奴に動かぬ証拠を与え、弱みを握られるところであった。
秘書が出ていくと、今度は神鷹会の方に電話を掛けた。
「もしもし。……次男坊が、パパラッチを仕込んで何かしようとしているぞ。場所は…」
電話を切り、ほっと一息。これで一安心。ただ、リュイアが本当にいるのであれば別の場所に移したほうが良いだろう。それこそ、別荘の地下室などに。
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