546: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/04/27(月) 21:45:08.75 ID:LiyV2qLE0
「…」
「…また、買ってあげるから」
家路を、とぼとぼ歩く。朱音はすっかり落ち込んでしまっている。私の提案に、彼女は首を横に振った。
「…いい」
「遠慮することはない。君は」
「いいよ…買ってもらってばっかりで…お金を使ってもらって…」
「…」
私は深く息を吐いた。思えば、先週買った人形は、これと比べて随分安いものだった。遠慮しているのだろうか。モノや金ばかりでなく、もっと別のものを与えるべきか…
朱音に声を掛けようとしたその時、すぐ横を一台のミニバンが駆け抜けた。
「! 危ない…」
咄嗟に朱音を背中に庇う。見るとミニバンは、少し前の方にある一軒の家の前に停まった。
家の扉が開き、一人の少女が出てきた。それを見た時、私は奇妙な既視感を覚えた。
「あれは…?」
少女が乗り込むと、ミニバンが走り出した。
「お父さん…?」
「あ、ああ」
背中から朱音に呼びかけられ、再び歩き出す。
家のすぐ近くまで来た時、私は思い出した。
あの少女。何処かで見たと思ったら、日曜日の朝のテレビだった。
何を隠そうあの少女、日曜朝の特撮番組『プリティ☆メイジー』の、主演の子役であった。
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