690: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/05/04(月) 17:28:18.59 ID:plgmMOgH0
腕時計を見る。まだ、もう少し時間がありそうだ。
「折角協力してもらったんだ。何かお礼がしたいな」
「いえ、そんな」
「いいから」
私は店員を呼ぶと会計を済ませ、立ち上がった。そのまま、タクシーを捕まえて3人で乗り込んだ。
…
「すみません、本当に…」
「いいんだよ。今後も、話を聞くことがあるだろうから」
両手に提げた大きな紙袋を、比奈は不思議そうに見つめている。職員の手には、菓子折りの詰まった紙袋。施設の人数に足りるだけ、郵送もしてある。
「…神崎さん、これで私が悪いやつじゃないと、分かってもらえたかな」
「…」
比奈はぼうっと私を見て、それからこくんと頷いた。
「それは良かった。大事にするんだよ」
「ありがとうございました。失礼します」
職員に連れられて、比奈は帰っていった。
今日は、ここまで。2人きりで会えるようになれば、その時は…
…
家に帰ると、明香が遊びに来ていた。が、丁度入れ替わるように帰るところであった。
「朱音と遊んでくれて、ありがとうね」
「うん!」
玄関先で声をかける。そのまま見送ろうとして、ふと思いつく。
「…どうかな、今度おじさんと一緒に遊んでみないかい」
「? おままごと?」
「いいや。ちょっとオトナの遊び。お母さんには内緒で」
すると明香は、考えるような顔でゆらゆらと身体を揺すった。
「んー…今度ね」
「ああ、今度」
「明日から、みんなで旅行に行くから」
「? …! そ、そうか」
すっかり忘れていた。明日から、連休だった。
「うん! 朱音ちゃんと、おばさんも一緒。お土産買ってくるからねー!」
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