823: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/05/05(火) 19:18:42.59 ID:Yiu9zhL/0
その夜、夕食を終えた私は朱音の携帯電話に電話を掛けている。妻は携帯電話を持っていない。
「もしもし」
”! お父さん…”
「今は旅館かな。夕食はもう済んだかな」
”うん。その…”
「ああ、良いんだよ。…テレビ電話にしてみるか」
テレビ電話に切り替える。小さな画面いっぱいに、朱音の顔が映った。どうやら風呂上がりらしく、浴衣を着ている。慣れない着付けで首元が大きく剥き出しなのが、そそる。
「楽しかったかい」
”その…ごめんなさい”
後ろめたそうな顔で、朱音が言った。
「良いんだ。父さんこそ、仕事ばかりで構ってあげられなくて悪かった。帰ってきたら、またどこかへ行こう」
”…あら”
妻が映り込んだ。彼女は私に気付くと、申し訳無さそうな顔をした。
”…あなた”
「何も言わなくていい。いつ、帰ってくるのかな」
”明日のお昼前には”
「そうか。気を付けて帰っておいで。姫野さんたちにも、よろしく伝えておいてくれ」
994Res/439.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20