981: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/05/11(月) 21:25:29.43 ID:h3sMFQ6n0
「朱音ちゃん。…うちに来てくれて、ありがとう。あたしたちの娘になってくれてありがとう。新しいお父さん、お母さんを受け入れてくれて、ありがとう」
「…」
「…生まれてきてくれて、ありがとう」
「…っ、お母さん…」
朱音が、泣きながら妻に抱きついた。
明香が、心配そうに近寄ってくる。
「朱音ちゃん…?」
「明香。もう少し、待ってあげよう。…絵里も。少し待ってから、ケーキを切るとしようか」
「…」
絵里は、遠巻きに朱音と妻を見ている。かつて私が言った、『朱音はようやく人並みの暮らしを手に入れた』という言葉の意味が、今になってのしかかってくるようだ。
生まれてきたこと。今この瞬間、ただ生きていることに、ありがとう。朱音が最後にそう言われたのは、どれくらい前のことなのだろう。そもそも、今までに一度でもそういったことがあったのだろうか。
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