大崎甘奈「キャッチャー・イン・ザ・バスルーム」
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5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2020/04/15(水) 02:30:25.10 ID:ywegwfSc0
頭からシャワーを浴びる。さっきからずっと落ち着かない。直前まで甘奈がここにいたからだろう。彼女の存在の残穢がまだ漂っているようで変な気分になる。
備え付けのシャンプーで洗髪し、手にとってボディーソープを泡立たせて身体を擦っていく。いつも自宅でやっているよりスピーディに終わった
バスタオルであらかたの水分をぬぐい取った後、ドライヤーで手早く髪を乾かした。ガウンに袖を通し、バスルームから出る。
「うん、うん、頑張る……あっ、それじゃあ切るね、また、うん」
甘奈はベッドに腰掛け、誰かと電話をしていた。きっと甜花か親御さんだろう。さっき俺の口から伝えたとは言え、本人からの連絡の方が家族も安心するはずだ。気を遣わせて切らせて申し訳ない、もっとシャワーを浴びる時間を長くすれば良かった
「甘奈、ちょっといいか?」
「なに?」
「やっぱり、二人で同じ部屋に泊まるってのは止めておいた方が良いと思う。甘奈はアイドルなんだし、俺はプロデューサーだ。いまから他のホテルとかネカフェとか探すから、明日の待ち合わせとかを……」
外の雨を見る。まだ止まない。テレビ画面を見る。通常のバラエティ番組が放送されている、がやっぱり画面が分割されている。左下に気象図が出ている。明日の朝には弱まるらしい。甘奈を自宅に届けるのも出来そうだ
「だ、大丈夫だよ? というか、今から探して見つかるかどうかも……甘奈、プロデューサーさんなら信じられるし、無理しなくても……」
甘奈はこの状況でも俺を慮ってくれるのか。そして、信用もしてくれている。とても嬉しい。だが。
「……信頼してくれるのは嬉しいけど、信用しすぎるのはダメだ。甘奈はもうちょっと、自衛する意志を持って欲しい。甘奈はアイドルなんだから、自分の事は自分で守ってくれ」
「……」
甘奈は押し黙った。組んだ指をもじもじとさせている。急に説教臭くなってしまった。申し訳ない、こういう大人からの小言って嫌な気分になるんだよなぁ。わかる、わかるけど、ちゃんと聴いてほしいな。なんだ、俺の考えがオッサン寄りになってるぞ
「とりあえず、まだ身体は疲れているだろうからゆっくりしてくれ。必要なものがあったら買いに行くから。ホテルの中にコンビニがあったし」
言葉を発しなくなったままの甘奈を横目に、窓辺のイスに座り直す。
乾いたスマホで近くのホテルを調べた。全滅だった。ラブホテルも調べた。全滅だった。カプセル。全滅。ネカフェ。臨時休業
……どうしよ
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