天空橋朋花「子作り逆レ●プのお供と言えば葡萄酒ですよ〜」
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34: ◆FreegeF7ndth[saga]
2020/05/11(月) 23:38:39.06 ID:i9qakCF1o

※32

「あら、こんな遅くまでお仕事ですか。あの子は寝てしまいましたよ」

 イヤーチップの隙間から入ってくる朋花の声は、軽い驚きを含んでいた。

 夕食も後片付けも入浴も済んで、あとは寝るだけ、というときだったが、
 俺はリビングの端っこで、鍵盤に指を這わせながらメロディを練っていた。

 鍵盤といっても、型落ちで投げ売りされていて衝動買いしたD-DECK。
 『使う機会、あるのですか?』と朋花に呆れられ、ポータブルなのに半分インテリアと化している。

「子供の歌って、なかなか聞かないからか、いろいろ湧いてきて。9割5分は使えないっていつもの感じだが」

 俺はEtymotic Research(D-DECKに挿しっぱなし。もちろん型落ち)を耳から外し、朋花のほうを向いた。
 メロディを練るといっても、iPhoneに鼻歌を録っておくのと大差ない軽さだった。
 朋花もそれを察していて声をかけたのだろうし、俺もあっさり作業を中断した。

「早く、寝たほうがよろしいですよ」

 朋花も湯上がりで、ピンクチェックの薄い寝間着。
 ソファに座り、長い髪をタオルに押し当て水を吸わせている。

 昼間、亜利沙の話のせいで『聖母』に興味を持ったらしい娘は、朋花にせがんで。
 『聖母』のかつてのライブなどを収めた映像を見ていたらしかった。

 俺は『聖母』を見聞きしたくなかったので、席を外して、税理士の先生にメールを打ったり、
 不要不急の買い出しに出たり、洗濯物を取り込んだり、風呂掃除したりしていた。

 『聖母』を堪能した娘はいたく感銘を受けたのか、
 『きれいでしょ〜、すごいでしょ〜、さぁよごしてみせて〜♪』と歌詞の意味も知らず真似をしたがった。
 それで防音にしている機材部屋に入って、朋花といっしょに娘のリサイタルにつき合った。

 機材部屋に娘を入れたのは初めてだった。娘は、歌いまくってノドがかすれてきたと思ったら、
 今度はROLIのLUMI(これも衝動買いしたまま置きっぱなしだった)に目をつけた。
 LUMIの、鍵盤がピカピカしながら鳴るガジェットらしい派手なレスポンスがお気に召したらしく、
 夕食の時間寸前まで離さずたっぷり遊んだ結果、疲れ切っていつもより早くぐっすり寝入っている。

「あなたは見ないで済ませましたが……昔の私を見るの、きつかったですよ」
「……そうか」
「だって下手っぴなんですもの。当時は一生懸命でしたが」

 俺はぎょっとした。D-DECKの椅子から立ち上がって、ソファの朋花が座る隣まで寄って、
 朋花の顔を見つめたが、冗談や洒落の様子はうかがえない。
 俺がいうのもなんだが、あれを『下手っぴ』とはシビアだ。俺まで時を超えてダメ出しされた気がする。



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