堀裕子「福井で人気のさいきっくサキュバスです!?」モバP「えっ」
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17: ◆FreegeF7ndth[saga]
2020/06/07(日) 23:08:42.13 ID:l/v3zoKYo

※※

「東京って田舎と違って、いろーんな建物があるなぁって思ったんですけど、
 ……二人っきりになれる場所って、なかなか見つからないんですね」

 ユッコは、上京に伴って転入した高校の校舎で、俺を先導して廊下を歩く。
 制服姿だ。ブレザー、ブラウス、プリーツスカート。さっきまで歩いてた外が暑かったからか、
 第1ボタンがめいっぱい開けられて、ゆるゆるのネクタイと合わせてひらひらしそうだ。

「ユッコの田舎は知らないが、ふつうは俺みたいな部外者が、高校の校舎なんか入れんぞ。
 このご時世じゃ、卒業生だってアポ無しだと門前払い食らうところもある」

 ユッコの高校は、うちの事務所が大口のスポンサーになってるところなので、
 地方から上京してこっちの寮を使うアイドルを、それなりの人数で受け入れてもらっている。

 その伝手があって、かつ今が夏休み中……で、事務方が暇だったおかげか、
 何日か前に届け出をしておく程度の手間で、俺はこうしてユッコと一緒に校舎内を歩けている。

「……だから、個人面談とかは、だいたい事務所の会議室のちっちゃいので済ませるんだ」
「個人面談って、お茶飲んでお菓子食べるだけじゃないですか」

 ユッコの言ったとおり、東京では成人男性とJKアイドルが安心して二人っきりになれる空間などほぼない。
 まして、アイドルが今のユッコのように制服姿では、おちおち街中も並んで歩けない。
 うっかりしてると職務質問を食らう。

「事務所では……なんもなければ、お茶飲んでお菓子食べるだけになるんだよ」

 けれど担当アイドルと込み入った話が必要になるケースもある……ので、うちの事務所では、
 定期的に小さな会議室(というより面談室)を使った個人面談を行っている。

「だって、何かあったヒトだけが個人面談してちゃ、誰に何かがあった……って丸わかりになってしまう」
「なるほど……気が付きませんでした。悩み事には不慣れなもので」

 ユッコは、相談したい悩みがあると告げてきた。
 でも、事務所じゃイヤだと続けた。

「ところで、超能力同好会の部室って、俺は足を踏み入れてもいいのか?」
「だいじょうぶですっ。活動内容は超能力の研究のほかに、人助けも入ってますから」
「から……って、理由になっていない気がするが」
「わ、私がプロデューサーに助けてもらうってことで、その」
「……信じるぞ、ユッコ」
「きょ、きょうは活動がお休みで、誰も来なくて、私の会員特権で……鍵も、いちおうかかりますし……」
「……本当?」

 ユッコの上履きが立てる足音が、少し高くなる。

(誰も来ない予定なのは本当だけど……鍵は、こっそり持ち出して……)

「……電気は、つけないほうがいいな。夕立の雨雲でも出ない限り、つけなくても暗くない……よな?
 学校の校舎だから、夏の晴れの真っ昼間にぜんぜん光の入らない部屋なんてないだろうし」
「そ、そんなに時間とってくれたんですか?」
「んー、ユッコに関して言えば、昼のダンスレッスンを夕方にずらしてるから、2時間ぐらいは」
(2時間……ご、ご休憩って感じがしますね……)

 背後からユッコがとんでもないつぶやきをぶっ放してきた。
 が、ユッコは相変わらずの足取りで俺を先導している。

 また、前後からのユッコ多重音声か。
 しばらくぶりに見る夢だが、これをされると、どうも後頭部やうなじがゾクゾクときて据わりが悪くなる。
 オカルトじみているし、ユッコの声でなければ一切ご遠慮願いたい現象だった。

「あ、あれですっ! あの『第3教材室』ってかかってる――」
「超能力同好会の部室じゃないのか?」
「私が転入してから結成したんで、そこはちょっと……でもっ」

 横開きの戸まで歩くと、一応「超能力同好会」の手作りポスターが張ってあった。
 新入会員の勧誘で制作したものを使いまわしているらしい。
 ユッコが先割れスプーンを握りしめている写真が、けっこう目立つ位置に載っている。
 アイドルの商売道具なんだから、肖像を大盤振る舞いしないでほしいのだが、まぁ、この程度なら……。




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