153: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/06/20(土) 22:55:11.84 ID:Gw97Bt4r0
研究所に着くと、研究部長が出迎えた。
「やあやあ、今日はありがとうね。ささ、こっちこっち」
自動扉を潜り、白い廊下を歩きながら、彼は雷火に質問した。
「ときに、例の脱走兵には会ったかね」
「ええ。口ほどにもない相手だったわ」
「ま、そうじゃろ。奴さんが持ち出した『シンカクベルト』…遠い昔にコンセプトごと凍結された、失敗作ですわ。アレは、元から人間にも扱えるように作ってある」
「どうして?」
「あの頃は、社長とワシと、リーヴォ自体が少なすぎてなぁ。どうにか仲間を増やそうと…それか、人間にリーヴォ並みの力を与えようとしてたんですわ。ま、すぐにそれが間違いだと気付いた訳じゃけど…」
網膜認証で扉を開けると、気密された小部屋に辿り着いた。
部屋の真ん中には四角い台座が置かれていて、ガラスで封じられた箱の中に一本のベルトが収められていた。
「…これが、シンカクベルト? 確かに紫電…あの男が持っていたものに似てるけど」
「うんにゃ、金型は流用したが、中身は別物よ。カセットの代わりに、強化装甲のデータを詰めたトリガーを差してある」
見ると、確かにソケットには、既に黒いカセットが半刺しになっている。
研究部長がパネルを操作すると、ガラス箱が開いた。ベルトを手に取って、雷火に差し出す。
「量産ベースに乗れば、君のところに届くよ。試してみたまえ」
「…」
雷火はベルトを腰に巻くと、黒いカセット型のトリガーに手をかけて…ふと、尋ねた。
「安全なんでしょうね?」
「少なくともリーヴォなら問題ない。ワシも自分で試した」
「そう。…えいっ」
トリガーを押し込む。
『スチルアーマー!』
合成音声と共にベルトから黒い装甲が展開し、雷火の身体をぴったりと包み込んだ。紫電の変身したバッタ怪人から、色を抜いて装飾を徹底的にオミットしたようなデザインだ。
「うんうん、いい感じだね」
満足気に頷く部長。変身を解除すると、雷火は質問した。
「これを、人間の兵に渡すの? 反逆に使われない?」
「無論、完成品には自爆装置を入れておくとも。リーヴォが使ったところで、対して役に立たない…人間が使って初めて役に立つものだからね」
553Res/220.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20