65: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/06/19(金) 18:48:20.00 ID:GNpwQjoF0
「…この面々が集まるのは、初めてかな」
会議室。円卓の一角に社長が座り、等間隔に他の幹部たちが座っている。社長の隣には、スーツを着た妙齢の女が佇んている。先日社長とともに兵を連れてきた、専属の秘書だ。
まず、黒いスーツをきっちりと着込んだ男が口を開いた。
「建設部から報告いたします。現在、主な事業は中部地方におけるミライネットの整備、並びに『ミライタワー』の建設です」
「進捗は」
秘書の質問に、男は額を拭って答える。
「…基礎の、20%ほど…全体では、まだ1%にも満たないかと」
「反対運動はどうなっている? 外交部」
「はい」
社長直々の指名に、縞模様のジャケットを羽織った茶髪の男は、動じること無く答えた。
「土地の所有者は既に懐柔済み。SNS上で『#ミライタワーが見たい』運動を展開し、トレンド世界一位。報道にも介入し、世論の大半は味方に付いております」
そこで、雷火の方をジロリと見る。
「…残るは、居座るデモ隊の排除のみかと」
「…頑張ります」
重々しく言った言葉に、その場の殆どが吹き出した。
「まあ、待ちなさい。彼女はつい先日、今の任に就いたばかりだ。前任者のツケを押し付けるのは酷というもの」
社長がなだめに入る。
「それに、この場に集ってもらった一番の目的は、別にある。…その前に、研究部の報告を聞いておこう」
「は、はっ」
よれよれのシャツに白衣を羽織った、瓶底眼鏡の男がへこへこと頭を下げる。
「…ま、結果論じゃあありますが、持ち去られたのが試作品のベルトで良かったですわ。アレは拡張性を求めるばかり実用に耐えない仕様で…へ、もっと使いやすいのを鋭意開発中でございます」
「よろしい。では、本題に入るとしよう。…兎走君」
「はい」
雷火は立ち上がると、円卓に座る人々を見回した。
これからの世界を担うべき、選ばれた存在。その中に、自分もいる。
「…ご周知の通り、実働部隊の総隊長を拝命しました。兎走雷火です。私から皆様へは、ご報告を一つ。……生まれながらのリーヴォを、保護いたしました」
どよめく一同。事の顛末をかいつまんで説明しながら、雷火は昨日の帰宅後のことを思い出していた。
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