93: ◆WEXKq961xY[saga]
2020/06/28(日) 20:24:42.51 ID:bTDMPCIa0
「オリエズマ、その遥か島国より参りました。ツバキ、と申します」
恭しく頭を下げた少女。長く美しい黒髪を背中と眉の上で切りそろえ、白い服に鮮やかな緋色の袴を穿いている。オリエズマの人には珍しく、その目は赤い。
彼女は、長いリボンの付いた鈴を掲げた。
「恐れながら、若き勇者様に、一舞献上いたします」
そう言うとツバキは、しゃん、と鈴を鳴らした。
すると、後方に控えるオリエズマの一団が、持参した太鼓や笛を一斉に鳴らし始めた。
「___、___…」
異国の言葉で歌いながら、優美に舞うツバキ。オリエズマの島国の楽器は、クリストラのものとは違う鋭い音色で、それでいてゆったりとした音楽を奏でた。
食堂は、水を打ったように静まり返り、彼女の舞と、細い指先の鈴に意識が向けられる。
…
静かな舞は、静かに終わり、拍手もぱらぱらと静かに湧き起こって、消えた。
「大儀であった、オリエズマの女」
王は満足げに手を叩いた。
「…ではこれにて、宴は終わりとする! 皆の者はそれぞれの領へ」
それから、アスラとツバキを交互に見て、言う。
「折角だ、ツバキなる女。今宵はクリストラに残り、勇者の夜伽を務めよ」
「えっ!?」
「ありがたき幸せ…」
仰天するアスラに、その場にひれ伏すツバキ。侍従たちが近寄ると、あっという間に2人は閨に放り込まれたのであった。
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