R-18 安価とコンマでダンジョンタワー攻略 Part3
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塔の主
◆VfcsCSY7us
[saga]
2020/07/29(水) 22:33:12.08 ID:jAL+aTFh0
「…本当に、恐ろしい人間がいたものね。わたくしに鳥肌を立たせるなんて」
(人々の平和のため…か)
恐るべき気迫、恐るべき執念。
人は見知らぬ誰かのために、こうも強くなれるものだろうか。
目の前で立ったまま気絶する女侍を前に、アルナはただ脱帽するのみであった。
「…アルナさま、この人たち、これからどうするのです?」
アルナはニニスのそばで「おすわり」の姿勢で問いかける。
従者の言葉に、アルナはしばし思案顔になった。
(正直なところ…殺すには惜しいわ)
信念だけではない、その戦闘技術も吸血鬼たちを相手にしてきただけあって相当なものだ。
もし彼女らを洗脳し、手駒として扱うことができたなら…
来たるべきオニキスやセウェルスとの決戦にも大いに役立ってくれるだろう。
しかし…
「―殺すわ。残念だけど」
アルナは冷酷な口調で答えた。
「わたくしは彼女らの実力に敬意を表すると口にしました。今もそれを撤回するつもりはありません」
アルナは無言で突っ立ったままのツバキに一歩踏み出す。
「操り人形のような生き恥を晒させるよりは…今ここで死を与えることこそ敬意の証というもの」
シャッ…とアルナはナイフのような鋭い爪を伸ばした。
「さようなら、サムライ。貴女のような人間の血を頂けること、光栄に思うわ」
シュバァッ!
アルナのツメが、ツバキの喉笛を切り裂き、鮮血が飛び散った…という状況にはならなかった。
吸血鬼のツメはツバキの喉笛ではなく、何もない空間を切り裂いていた。
「―えっ」
一瞬、アルナは…
切り裂かれる直前でツバキが意識を取り戻し、ツメをかわしたのだと思った。
だが、ニニスの叫びによってそれが間違いであることを知る。
「あ、アルナさまぁ! こ、この人!床にめり込んでいきます!」
アルナは妙なことを言い出したと思ったが、ニニスは事実そのままを伝えていた。
気を失ったままのツバキが、足元に突如出現した黒い『穴』にズブズブと沈み込んでいくではないか。
まるで底なし沼にでも沈んでいくかのように―
「く…空間転移…? でも誰もそんな術を使った気配は…」
驚愕するアルナであったが床に消えゆくのはツバキだけではない。
傷つき倒れた彼女の仲間たちも同様に穴の中に沈み込んでいく。
「二、ニニス! 彼女たちを逃がさないで!」
「あおぉんっ!」
ニニスが小さく吠えながらギンガの身体に飛び掛かる…だがニニスのツメは空しく石床を傷つけただけ。
ギンガの姿も、クチナの姿も既に消えた。
そしてツバキも…やがて床の穴に飲まれて完全にこの場から消え去る。
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