【ミリマスR-18】馬場このみさんと映画を見ていたら盛り上がっちゃった話
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4:ベッドシーン 2/12[sage saga]
2020/11/21(土) 00:11:15.44 ID:XGQrdtYN0
 沈黙を保っていた液晶モニターのスイッチが入れられた。そこそこ腹が満たされてきた所で空いた食器を片付け、二人揃ってソファーに腰かけた。エンドテーブルにちょっと手を伸ばせば、追加で盛られたチーズやらサラミやらがいいツマミになる。

「映画借りてきたの。一緒に見ましょ」

 パッケージの表では、探偵か刑事か、といった風貌の男性と、少しばかり古めかしい水玉のワンピースに身を包んだ美女が、背中合わせに立っている。今やってる海外ドラマのインスパイア元なのよ、と、大きなモニターに映った配給会社のロゴを背景に、解説の声がする。

 主人公と思しき男は、敵対する麻薬組織の追手から逃げ続け、ようやく警察署の裏でタバコをふかしていた。ハードボイルドな雰囲気が漂う作品で、今だったら不潔なイメージさえ持たれかねない所々に白が混ざった長い髭が、煙の漂う画にはよく似合っていた。

 二人並んでの映画鑑賞が始まってから、九〇分ほどは経っただろうか。二メートル程度離れたテレビの中では、ソフト帽を被った中年の男が車を運転している。錆をまとった信号が赤になって停車すると、後部座席に座っていたトレンチコートの女が、助手席に乗り移った。

 凹みの跡のみならず、弾痕すら残る自動車は、煙を吐きながら少しずつ市街の中心部から遠ざかっていく。立ち並ぶ建物の背が低くなっていくにつれて、二人の間に交わされる言葉も疎らになっていく。このみさんの部屋のエアコンが風を吹き出す音が聞こえてきた。この二人はどこに向かおうとしているのだろう。この映画の前作を見ていなかった俺には、見当がつかなかった。

 男はとうとう一言も話さなくなってしまい、しきりに顎の髭を撫でている。あらすじを説明してくれていたこのみさんも静かになってしまった。ぱっちり開かれた目は、画面にまっすぐ刺さっている。ワインを口に含もうとしてグラスの縁に触れた、血色の良い唇が妙に艶めかしい。暑くなってきたのか、このみさんは沈黙を保ったまま、ニットのパーカーのジッパーを下ろし始めた。するりと脱いだそれはくるくるまとめられて、ソファーの脇に除けられた。キャミソール姿で剥き出しになったうなじから、マグノリアの香水が漂ってきて、鼻腔をくすぐった。その芳香が、頭の中のカレンダーをめくり始めた。最後に同じベッドで寝てから、すっかりご無沙汰だった。

 時間を作ってプライベートで会う関係になってから、予想していたよりも遥かにあっさりと、俺はこのみさんのことを性的対象として見るようになった。「そういう目」で見るようになると、このみさんはいつも色っぽかった。あの人が呪文のように唱える「アダルティ」だの「セクシー」だのはいつもスベっているけれど、そういうのも、タイミングがまずいだけであながち的外れでは無いのかもしれない。

 今だって、俺の左隣で、クッションの深いソファーに身を沈めているその姿――ほっそりした首筋、剥き出しの肩、赤いマニキュア、透明感のある唇、ショートパンツから伸びる生の脚、至る所から色香がゆらゆらと立ち上っているじゃないか。

 背が低く童顔で、時には年齢の割に幼稚なこのみさんに性的な興味を抱くと、酷い倒錯感がいつだってつきまとう。恋人にそういう欲を抱くのは生物としてごく健全な証であるのに、電気を点けたまま、裸を視界に入れながら行為に及ぶときは罪悪感を覚えることすらあった。


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